斉藤百香

ルームの斉藤百香のレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.0
第40回トロント国際映画祭で観客賞を受賞
アカデミー賞も4部門ノミネートされてた名作。

★あらすじ
7歳の時に誘拐され、7年もの間小さな小屋に監禁されて来た主人公ジョイ。
その小屋にはもう一人、その部屋で出産して外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャックがいた。
完全に外界と隔絶されたその部屋には、たまに誘拐犯がやって来て食事を届けるのみ。
外の世界を見たことがなく、本当に2人だけの世界で育った息子。
部屋のなかだけが世界だと思っている息子のためにも、ジョイは脱出を試みる。自らの奪われた人生を取り戻すため、ジョイは全てをかけて脱出する。
外の世界は本当の自由、そして息子の未来があると信じて…

★家族の葛藤

この映画は、親と子の関係や子育てがテーマである。
単なる監禁・脱出ものではなく、中盤に至るまでに脱出に成功していて、むしろその後の生き方や苦悩に焦点を当てて描かれている。

5歳の息子にとっては小さな小屋の中が世界の全てだった。
初めて外の世界をみた男の子の葛藤や新鮮な反応、どんどん順応していく様子がリアルで物語に入り込める。

誘拐・監禁から7年。
当然だけど、外の世界は変わっている。
17歳で時が止まってしまっている主人公。

誘拐をきっかけに離婚してしまっている両親。
突然現れた5歳の孫を受け入れられない家族。
部屋から出られた後の方がむしろ、2人の関係はギクシャク・・。


二人きりじゃなくなった世界で、そのリアルすぎる現実を乗り越えられるのは、親子の愛。

母と子の助け合いや心の結びつきに、あなたもきっと涙するでしょう。
斉藤百香

斉藤百香