ゆうた

ルームのゆうたのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.1
青山シアターオンライン試写会にて観ました。初レビューです。

ブリー・ラーソンとジェイコブ・トレンブレイ君の、自然かつ実在感ある演技に圧倒されまくりの2時間でした。

大げさな演出はなく淡々と丁寧に日々を描き、少しずつ心に染み込んでくるカットとセリフの数々(セリフもそこまで多くない!)。苦しみ・悲しみ・驚き・恐れ。
だからこそラストに近づくにしたがってポジティブな世界が広がり始めると、「はぁよかった」って涙が止まらなかったです。
ジェイコブ君の目線で撮っていることも多く、世界が拡がっていく様が手に取るように分かりますし、僕らの原体験も喚起されて懐かしい気持ちにもなりました。

抑制された音楽も、ここぞというときにドカーン!と来るので、映画館ならきっともっとグラグラしたんだろうと思います。

映画の語り口も対の構造になっていて好みでした。部屋の内外、母と子、身内とメディア、おはようとさよなら。世界は残酷なようで、優しい。

好きなシーンもそうです。ブリー・ラーソンが部屋の中で閉塞感・絶望感にかられてもう涙も出ない中、天窓に残る雨の雫が滑り落ちる。2人ぼっちの部屋が泣いているような、包み込む世界の中どこにも行けないような、その繊細な表現に心打たれました。

想像していた以上にポジティブで、みんなに勧めたい、そんな作品でした。
ゆうた

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