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ルームのpenのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
5.0
母親・ジョイにとって最悪の状況である前半が、息子のジャックの目と耳による体感に寄り添って描かれることで、彼女の過酷な戦いの日々を観る側に想像させる。この前半があるからこそ、その後のジョイの葛藤を印象的なものにしていた。

映画後半のジャックの発する言葉や一挙手一投足は、普通の子どもと同じ振る舞いのはずなのに、1つ1つが胸に刺さってくる。特にジョイの母親、ジャックにとっての祖母との会話は平和でありながら重い。やはり前半のドラマがあるからだろう。

本作はジョイの成長物語であると同時に、ジャックの世界を見る目の変化も描いた作品だ。ハレーション気味に描写される自然が最後にどのように変化するのか、その変遷も見所の1つだと思う。
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