NESSA

ルームのNESSAのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.0
監禁から逃れた後、社会に戻ろうとするところからが本番です。
社会を知って監禁されたと、社会を知らない息子。子供はプラスチックのように柔軟というように、最初は人と話すこともままならない息子が段々と社会性を身につけていく。一方で母親は7年間の間に社会に取り残され、普通に戻ろうとすればするほど差は広まるばかり。これは辛いだろうなーー。世間からは同情と好奇の目で見られるし、家族もばらけている。普通というものが何なのか社会性とはという問いとの葛藤で心が壊れそうになる母親。見ているだけで辛い。この事件が壊したのはこの親子だけでなく母親の家族までも崩壊させている。確かにしんどいであろうが、辛いのはあなただけだと思うの?ってどなり散らす母親の母親はちょっとデリカシーにかけるのでは。いや、ストレスも溜まってしまうのだろうけど、社会性が失われてしまったという事をあの時点ではしっかり認識できていない。でも一番イラッとくるのはレポーターか。無神経にも程がある質問を連発。それが最善の方法だったの?ってアホか。その状況下に置かれたことがないだけではすまされない無神経さで母親を深く深く傷つけてしまう。
これから生きていく上で相当強さを求められるのだろうなと思うとしんどいけれど、息子には出来そうだし頑張ってほしい。母親の方が問題だけれど部屋と向き合えたのだからきっと生きていけるはず。どうか息子を残していってしまう事がないようにと祈るばかりでした。

監禁後の生活を描くってなかなか珍しい視点で描かれた面白い作品でした。社会性については監禁されていなくても普遍のテーマなので考えすぎて辛い事もあるけれど、人間考えることを止めてしまったら意味ないからね。頑張って生きよう。 にしても辛い。が、いい作品である事は確か。
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