千秋姫

ルームの千秋姫のレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.5
観終わって速攻でもう1回再生ボタン押した

いやこれ、そもそもなぜ観たかったかと言うと…

だーーーーーーーーーぁぁぁああいすっきYUKIが
猛烈オススメしていたから!!

YUKIの猛烈プッシュぶりと、この優しいジャケットから
そもそもの物語の残酷さを、どんな感じで表現しているんだろう?
なんて思って観たけれども

ああ…最高(´ ; ω ;`)

これは間違いなく女性の手により創られた作品だなぁ…という
なんとも言えない、美しく上質な映画です

ある日突然、17歳の少女が誘拐されて強姦され
狭い狭い部屋で、7年間も監禁されていたお話。
その間に犯人の子供を産み、育てていた。

こういう話は、特にこの舞台でもある欧米では
きっと本当に、日常茶飯事と言ったら可笑しいけれども
決して珍しくない事件だと思う

近年、日本でも似たような事件を耳にしたことがあったくらいだし。

この映画の良かったところは
5歳の子供、ジャックの視点でストーリーが進むところ

まず例えば、このストーリーの最初の舞台『監禁部屋』も
ジャックの母親、つまりレイプされた被害者女性から見た視点だけれども

5歳の息子、ジャックの視点から見たらそこは
大好きなママと暮らした、“ 僕のすべて ” が詰まった『大切な場所』になる

母は、どんなことがあっても息子を守ろうと決めた
毎朝のストレッチや、ヨガ、ビタミン剤を欠かさず、日々を生きた
歌を歌って聞かせ、お話を聞かせ、卵の割り方を教えて、その殻でヘビを作ったりもした

息子ジャックへの愛に溢れたその場所が、この映画を
誘拐や強姦、監禁と言った言葉からイメージされる
怖いとか、痛いとか、悲しいとか…そういう方向へ、向かわせなかった

とにかく子役の男の子が、素晴らしすぎる演技で
観ている側も、思わずこの子の世界観へトリップしてしまえる

始まってすぐの、母親とのシーンで
虫歯を痛がる母に対し
「大丈夫と思えばへっちゃらだ!」
と言っていたり

母親が自殺未遂をしたときに
「ママは、駄目なママね」という言葉に対し
「でも、ママだよ」と、返すやり取りなどなど…

なんだか深いぃセリフが、ときどきポン!と出てくるところも
この映画を柔らかくしてる素敵なポイント

監禁生活から脱した現実は、希望と絶望が表裏一体
過去に絶望し、未来に希望を持ち、また未来に絶望し…
その繰り返しの世界

だけれど、そこには子供の純粋さがあり、光であり
生きる!という生命力があり、強さがあった。

DVD買いました。
千秋姫

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