中重優

ルームの中重優のレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.0
原作者がオーストラリアで起きた
"フリッツル事件"から着想を得て、
執筆した作品を映画化。

ジョイは7年、ジャックは5年もの間
"ルーム"と呼んでいる納屋の中で生活していて、
季節の移り変わりは、天窓から見える景色だけで
感じる様な日々を過ごしています。
ジャックが知る世界は、そのルームだけ。

ジャックは閉ざされた環境の中で、
何がフィクションで、何がリアルなのかも
最初は理解できません。
ジョイの心労も相当なものでしょう…。
なんせ極度のストレス状態にも関わらず、
5歳児と向き合い、育て、
なんとか脱出しようと試行錯誤していますから
度々、ジャックとも衝突しますが、
それでも2人支え合って生活しています。
天窓から差し込む陽の光で、
影絵をして遊ぶジャックの姿に
胸が苦しくなりました。

ジョイの計画で、
ジャックが外の世界へ出た時の
トラックの荷台から空を見上げるシーンの
瞳の美しさには、魅せられました。
光の中で見る瞳は、
本当に宝石の様な輝きで、
すごく印象深いです。

ずっとジョイと2人きりで、
閉じ込められてたが故に、
初めて見る外の世界、
初めて会う画面越し以外の人間に
戸惑うジャックから絞り出せた少ない情報で、
ジョイを救出した警察は、
フィクションとはいえすごいと思いました。

7年間もの月日は外の世界の状況を
変化させるのには、
十分な時間だったでしょう…。
好機の目や現実と向き合わなければならない
辛さは計り知れません。
記者のインタビューは、
相当なストレスだったでしょうね。

周囲の人々や環境の変化によって、
様々な出来事が起こりますが、
最後、別れを告げるシーンで、
やっと前を向けたんだなと思いました。

鑑賞して良かったです。
中重優

中重優