ねこたす

ガールズ&パンツァー 劇場版のねこたすのレビュー・感想・評価

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ムービーウォッチメンの課題作品にまさかまさかで当たりやがって、悩みつつも一晩でアニメシリーズをガッと見て鑑賞してきましたよ。

アニメシリーズを自分なりに解釈するなら、一度のミスで全てを失った主人公「西住 みほ」がその原因たる"戦車道"を通し新たな仲間を得るという話。
いかに優れた戦術家でも、一人では何も出来ないのだ。仲間を見捨てることはしない、そういった勝利至上主義とは違う彼女の"戦車道"は多くの人の心を動かしていく。

あ、ちなみに戦車道とは『戦車を用いて行なわれる武道。伝統的な文化であり世界中で女子の嗜みとして受け継がれてきたもので、礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸とされる』-wikipediaより引用

らしいです。何が何やら…

最近よくあるミリタリー×美少女の一つであるが、確かに可愛い女の子とおそらくかなり精細な戦車描写がこの作品の魅力だろう。

そういった作品を劇場版にするにあたってどうするか。
とりあえず大盛りにすることだ。
そして、その判断は正しい。

映画冒頭いきなり戦闘シーンから始まるのだが、何やらおかしい。知らないキャラはいるやら、かつての敵同士が共闘していたりする。

優勝した大洗女子学園ではエキシビションが開かれているようだ。正直、さっさと切り上げてシナリオを描けばいいのにと思うのだが、この試合だけでもそれなりの尺を使っていたように思う。新規の人に対して、こういう話ですよ?っていう導入なのか。

アニメシリーズで勝ち取った優勝で廃校は免れたはずだったが…。大筋はそのような話。
それを撤回するには、さらに強い敵を倒してね?というインフレ具合もまあよくある。
そして、それに対する時にかつての敵が助けに来るという展開もありすぎるほどある。
でもそれが熱いから、良いのだ。

本編では描かれなかったみほと姉との関係も描かれる。距離が離れてしまっただけで、仲がよさそうだし信頼感もある。

廃校に揺れる場面では、会長が精力的に行動したり桃が一人奮闘する。とくに、桃は本編であまり良く描かれていなくネットでは叩かれたりしていたこともあって、改善した部分だろう。

そしてお茶会と称し、各校に連絡を取るダージリン。本当にダージリンちゃん可愛い。次々に共闘を申し出て、30台もの戦車が横並びで一斉に走るシーンは、劇場版だから実現したスケールだろう。

正直戦闘シーンについては言語化するのが難しくて、なるほどこれがアニメ版マッドマックスかというところなのだ。
(女の子がニコニコしながら戦車乗り回すビジュアルをそんな簡単に飲み込めるかという気持ちは強い笑

いくつか気になったところを。
やはり時間とお金をかけたこともあって、戦車戦闘の描写レベルが確実に上がっている。そして、音も相まって臨場感もある。聖地立川に赴かなかったことを後悔するぐらい

爆発も強力になっており、いくら特殊なコーティングしてあるといっても、そりゃ死ぬだろ…みたいなところ。
今回初登場する知波単学園がぶっ飛んでいて、すぐ突撃したがるという分けの分からなさ。チハが柔らかいことは自分でもしっていたが、打たれたら文字通り回転しながらぶっ飛ぶ。
こいつらがわりとイライラの対象だったが、成長も描いている部分も好感。

主人公チームは正攻法でない戦い方で渡り合っていくのだが、大学生側ももう少しキャラ立てがあるとよかったかな。

それでも、ラストの姉妹vs島田の戦いは息を飲む。砲撃の音で指示ややりとりが観客には伝わらないが、それでもお互いの意思疎通から連携を取り相手を倒すシークエンスはアニメと馬鹿にできないものだった。

不満なところというと、やっぱりキャラが多かったので描きが足りないなあと思う面々が出てきたところ。あと戦況が分かりづらい。とりあえず画面ですごいことが起こっているのだが、どっちが勝っているのか分かりづらい。戦車使った戦いってそういうものかな?
あと、上坂すみれのロシア語はすごいと思うけど、ちょっとやりすぎ感あるでしょ。声優オタクは反省した方がいい

それでも楽しかったなあ。
作り手の戦車への愛がダイレクトに伝わってきた。
戦車好きなんて言ったら、戦争したいのか?みたいな勘違いされやすい世の中で、ただ純粋に戦車が好きだ!ということを訴える為に作ったアニメ。エンターテインメントの良さはこういうところにあるだろうし、この作品が作られた意味はとても大きいはずだ。
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