悪魔の棲むYeah

ダッグ・ファイトの悪魔の棲むYeahのレビュー・感想・評価

ダッグ・ファイト(2015年製作の映画)
4.5
貧しい家に生まれた。
周りも貧しかった。
町が貧しかった。
悪さに慣れ、やがて板についた。
何回も捕まった。
ときには死ぬほど殴られた。
女ができて、すぐにガキができた。
大しておれには似ていなかったが、可愛いやつだ。
自分が少しマシな人間に思えた。
親らしいことをしなくたってガキは育つ。
いろんな物が必要になる。
まともな仕事をしなくちゃと思った。
あちこち回ったが、誰も相手にしてくれなかった。
刑期を終えた、罪はつぐなったと訴えても、だからなんだという目でおれを見た。
昔やったことがいつまでもいつまでもつきまとう。
マシな奴に思えた自分はどこにもいなかった。
また手を染めるしかないかと思っていた頃に、声をかけられた。
殴って、相手を負かせたら、お前の勝ち。
チンケな路上のケンカじゃなく、興行だ。
チケットを売って客を呼ぶし、動画をネットにも流す。
そうしてプロの格闘家になったやつがいる。
頭の後ろと金たまは殴るなよ。
あとはどこを殴ってもいい。
ただし終わったら相手を称えろ。
それが決まりだ。
やるかと聞かれてやると答えた。
そうしてこれが始まった。