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マダム・フローレンス! 夢見るふたりのmofaのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

【優しい愛に溢れている】

この映画は、マダム・フローレンスそのもの。
彼女を受け入れた人は、この作品を受け入れ、受け入れられない人は、受け入れられない。
私は、存分に受け入れられた。

メリル・ストリープ ヒュー・グラントは当然だが、良かった。
ヒュー・グランドもこんな役をするようになったのね・・と感慨深く。 昔から、優しさの象徴であった目尻のシワは、まさに、この時の為にあったのか!と思えるほど、フローレンスに向ける微笑みは、慈愛に満ちていた。

そして、やっぱり、ピアニストが素晴らしい!サイモン・ヘルバーグのおどおどした感じ。
そして、彼自身も、マダムに魅せられていく様は、まるで自分を見ているようだった。

. 病を抱える妻を、夢見させ続ける夫。
その姿に偽りはなく、それは、ピアニストにもお手伝いさんにも、彼女を囲む人々にも言える事であり。
誰もが、歌を超えた、彼女自身に魅了されていたに違いない。

彼女の音楽は冒涜なのだろうか。
歌を愛していた彼女、ニューヨークの音楽を支えていた彼女。 お金をばらまいていたのは夫である。
むしろ、彼女は騙されていた側である。
そして、音痴な歌声であっても、拍手が鳴り響き、レコードは売れ、
カーネギーのアーカイブは、未だ、彼女のものだ。 最後、彼女は全てを知って、病に伏せてしまう。
けれど、彼女は、嘆きはしない。
「けれど、私は、やってやったのよ」とイタズラっぽく笑う。
その大らかさ、その前向きさ。
それが、彼女の最大の魅力。
思わず、夫も「ブラボー」と声を震わせる。 .

思わず涙が出た。
喜劇のような映画で、ほろっと涙が出た。
その涙は、最後に真実を知らされ逝ってしまったからではない。
2人の愛の優しさに、涙がこぼれた。
そして、驚くことに、
エンドロールは、あの歌声で、
余韻に浸ることになる。
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