きのこ

ザ・ダンサーのきのこのレビュー・感想・評価

ザ・ダンサー(2016年製作の映画)
3.3
リリーちゃんが出ているから。
フランス語だから。
という理由だけで、観る!と決めてた作品。
でもやっぱりあんまり話題性はないのかなあ…
公開2日目で、しかも土曜日で、時間も夕方とちょうどいいのに、ガラガラ!
大好きな2階席の一番前の真ん中の通路側の端っこ(普通の映画館は絶対一番後ろ派)の席を、時間ぎりぎりに行ったのにあっさり取れたのにもびっくり。
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まあ、そんな理由で観ることを決めたので、内容とかほとんどわからなくて、実話ってことしか知らないまま鑑賞。
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仲間に理解されなくても、自分を極限まで追い詰めてまでも
自分の理想を追い求める姿は単純に素晴らしいのだろうけれど
もともとダンスに全く詳しくないうえに、わたし自身はかなり回りに流されるし、独りになるくらいなら…と思ってしまう意志薄弱タイプなので
途中まではロイを見ながらイライラしてしまって
そこまで追い詰めなくても…
身体も限界じゃない…
理想を追い求めても、難しいときもあるんだよ…
なんて思ってしまったのですが
ラストのロイが嬉しそうに言う言葉と笑顔で、一瞬にして
これまでのロイのことが全て理解できた気がして(あくまでも気がしただけ。理解力乏しいので)
なんだかもう、イライラしていた自分が恥ずかしくなった。
というか、ロイのように自分を曲げない人からしたら、わたしみたいな人間のほうがイライラするよね。
直そう。反省。
むしろ、ロイまで行くと極端だけど、それくらい自分を表現できるくらいになろう。
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ロイは自分のダンスを曲げたくない、伝えたいという思いが強いから、気が強く思えるけど
本当は誰よりも繊細で、家庭環境なども複雑で孤独で、自分を追い込んで…
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"あなたの踊り、負担が大きそう"
というイサドラの言葉。
わたしはその通りにしか、その時は受け取れなかったけれど、観終わったいまよく考えると
それはロイの孤独や繊細さを表していたんだなあ、と。
だからこそ、あのダンスは芸術性を抜きにしても、あんなにも人々を魅了する何かがあったんだろうな、と。
イサドラのような自由奔放さが少しでもあれば、また何か違ったんだろうか。
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そう、その、ダンス。
ダンスは全然わからないので、正直ロイやイサドラが踊っているのを見ても
(ダンスの演技として)上手いのかあんまりなのかさえもわからなくて
あのダンスも、棒と衣装を纏ってくるくる回ってるだけじゃね?とか失礼極まりない馬鹿なことを思っていたのですが
暗闇で、白い衣装に色鮮やかな照明が当たって、そこで全身全霊で踊る姿は本当に圧巻で…
芸術センスのない自分が本当に恥ずかしい。
当時は本当に、革新的なダンスだったのですね。

そして何より、リリーちゃんの存在感。
出てくるシーンはそんなに多くない。
どれ位かというと、ショコラのルー(ジョニー♡♡♡♡)くらい。
中盤の少し後くらいに初めて登場して、重要な役割として絡んで、おしまい。みたいな。
でもそれでも、主役を食うかのような、あの存在感。
リリーちゃんのもともと持つ雰囲気が、
綺麗で美しくて繊細で、壊れてしまいそうだけどどこか強い、
というのもあるのだろうけれど、それにしたって!!!
あのオーラはやっぱり父親譲りだわ…
美貌は母親譲り…

観終わったあとは正直頭の中でまとまらなくて、まあ今でも何を書いてるかよくわからないのでまとまっててないし
面白かったかといえばそこまででもないけれども
観てよかった…。
久しぶりに買ったパンフも丁寧で…
欲を言えばもう少しリリーちゃんのことも読みたかったけれど。
ガブリエラを演じてた女優さんがレアセドゥに見えて仕方なかった。
ギャスパーは最近、たかが〜で見たけど全然違って最初わからなかったです。
やっぱり役者さんってすごい。

この映画の不満をひとつだけ上げてもいいでしょうか。
予告でのリリーちゃんの紹介が、
"ジョニーデップの愛娘、リリーローズデップ"
だったこと。
たしかにそうだよ。何も間違ってない。
でも普通、代表作とかを書くのに!
代表作じゃなくても、出演作!
Mr.タスク出てるし!
シャネルのミューズだし!
これじゃあまるで、ジョニーの娘っていう話題性だけで抜擢された2世みたいになっちゃうよ…
まあでも仕方ないのかな…
きのこ

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