Rui

ニューヨーク 眺めのいい部屋売りますのRuiのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

老夫婦が40年以上暮らしてきたニューヨーク・ブルックリンに建つ眺めの良いアパートの一室を売りに出すという話。

理由としては、夫アレックスの足腰が弱り、5階まで階段で(エレベーターはないので)上ることが困難になりつつあるため。映像を見る限り、そんな良い眺めとは思えなかったけれど。私がビル群に魅力を感じないだけだろうが。原題は"5 Flights Up"だけれど、こればかりは邦題のなかなかのセンスだなぁと高評価。

不動産の取引のバタバタ感や経済的&時間的な焦りや、売却の方と買収の方で心が擦り減っていく様子がリアル。内覧会で客たちがヅカヅカと部屋に踏み入り、家具や内装を容赦なく評価する…のは当たり前だが、二人にとってみればどれも思い出深い物であり、貶されるのは悲しかっただろう。それでも目立った夫婦喧嘩は起こらないというのが理想的な仲良し夫婦。
自分たちの生活屋これまでの思い出を振り返り、結局は現段階では越さずに住み続けることに落ち着く(アレックスの脚は大丈夫でしょうか…?)。質素な生活ながらも部屋への愛着は誰よりも強かったのだろう。
あれだけ二人のために奔走してくれたバリキャリ不動産女性が可哀想だったが。憤慨するのも当然だが、彼女も悪い人ではなくあくまで不動産の仲介人というキャラで終わったので何も不快感はなかった。

老夫婦二人が、我が家の売却を通してお互いへの愛を再確認し、また、これからの生活を見つめ直す、という温かいリスタートの物語。この辺りのまとめ方が上手かったなという印象。
Rui

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