まっさ

無限の住人のまっさのレビュー・感想・評価

無限の住人(2017年製作の映画)
2.5
原作の10巻分ぐらいを無理やりぶち込んだ不完全燃焼な映画。
つまらなくはないがおもしろくもなく、という微妙な感じだった。
いちアクション映画好きかつ原作ファンとして言いたいことが多いため箇条書き。

良かった所
・キムタクの万次、市原隼人の尸良。原作のイメージとは違うが、この2人は佇まいや面構えを含めて演技がすごくよかった。というかこの2人以外の存在感がなさすぎ。
・アバンタイトルの百人斬り。白黒の画と相まってすごくかっこよかった。
・多数の武器が見事に再現されていた。一切使われない武器でもちゃんと作ってあったのもよかった。
・エンドロールで流れるMIYAVIの曲。

ダメだった所
・原作の再現と、一本の映画として完結した脚本及び上映時間とのバランスの悪さ。クライマックス手前ぐらいまではわりと原作通りの話にしてしまっているため、結果として出す必要なかっただろと思うようなキャラが多い。凶、偽一、百琳、阿葉山、伊羽あたりは完全な無駄遣い。吐の超弱体化にもがっかりだった。ただ、続編を変に匂わすような終わり方になっていないのはよかった。
・万次の罪状やら逸刀流やら、設定や過去の説明台詞が多すぎて不自然だし、そのせいでドラマシーンのテンポが悪い。中盤で万次の過去を改めて説明しなおしたのは謎。
・福士蒼汰。申し訳ないが、カリスマ性が全く感じられない。
・アクションシーンがたくさんあるものの、アバンタイトルの百人斬りの延長にすぎず、それぞれのシーンに何かしらのアイデアが凝らされているわけでもないため平凡で印象に残らない。終盤のvs公儀は長すぎて退屈だった。寄り気味だったり手ブレの画が多かったりして観づらい所が多く、せっかく役者が体を張っていてもあまり意味がなかった。もっと引きの画で一連の動きをじっくりみせてほしかった。
・↑とも通じるが、蒔絵のアクションシーンのショボさ。寄りやスローでごまかされているため原作を読んでいなければ戦い方がいまいちよく分からないし、作中最強感は全く伝わってこず。しっかり実写として表現できないのなら、登場させなくてよかった。
・効果音や血糊の多さで誤魔化しているが、ゴア描写がぬるすぎる。原作は人の部位がポンポン飛ぶ漫画だったが、映画では手がポトッと落ちる程度しか欠損シーンがほぼない。
・天津の斧がイメージと違う。全身で回すように扱い、相手の体を受けた刀ごと叩き潰す武器のはずが、片手でブンブン振り回せるちょっと重いだけの武器になっていた。
・火瓦(途中で万次を待ち伏せしていた三人組の1人)役の人の演技が酷い。
・終盤の凛の行動がよく分からない。原作では天津の他にも、練造との一件があったり、心情描写が色々あったため行動のブレにも共感できたし、天津との決着にも納得できたが、映画にはそれらが無いため、途中から凛が何を考えているのか謎。

結論
・これを観るよりは、同監督の『十三人の刺客』を観るのがオススメ。
まっさ

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