宇宙人との対話を通して、彼女は何を体験し予感し判断するのか？
おそろしいほどの美しさに満たされた映画。一口にSFと言ってもエイリアンのようなホラーからスターウォーズのようなアドベンチャーまで様々。それらに対し、静的な美しさをたずさえた位置にある作品。ガタカに似ている。
宇宙人という明らかに異質の存在に、普通なら畏怖するところを、粛々と向き合う。しかし理解できそうなものは何も見えない。未知との対話の始まりという設定に究極まで近づいていく。
声も表象言語も肉体も、何もかもが斬新で本質的で美しい。アドバイスを依頼した言語学者がヘプタポッド言語のガイドを作ったときいて、読んでみてぇー！！となった。新海誠さんも表象文字を見て感激したとのこと。
出演者も必要十分。エイミー・アダムスは母親業に移ろうと考えていたところで本作のオファーをもらい、本作への参加を決めたという話が、ストーリーと重なって心に訴えかける。
すべてが美しく、SF映画の教科書、いや聖書的完成度。言語科学者、親になる人、SFファン、映画ファンにオススメ。
さらにヘプタポッドの概念を深く理解するのに、原作短編集もオススメしたい。
