このレビューはネタバレを含みます
No.3359
『複雑でややこしい映画構造がクセになりそう』
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前作のテイストを引き継いだ続編なのかと思いきや、
まったく違うテイストで、だんだんホラーみたいな、サスペンスみたいな展開になってきて、
この時点でダメな人はダメだろう。
僕はこういうカオスすぎる展開、めっちゃ好き。
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カーレーサーのジャン・ルイ(ジャン=ルイ・トランティニャン)と、映画プロデューサーのアンヌ(アヌーク・エーメ)が、とあることから20年ぶりに再会します。
2人はかつて愛し合っていました。
そして、再会の場で、アンヌはジャン・ルイに「2人のかつての思い出を映画化したい」と提案します。
かなり突飛な提案ですが、映画屋の彼女は、これでイケる、と思ったのでしょう。
ジャン・ルイにしてみれば、かつて愛した女性からの連絡で、心うきうきで会いに行ったものの、いきなりそんな話に面食らい、渋ります。
アンヌの再三の説得でついにジャン・ルイは映画化を承諾、2人の愛の物語の撮影が開始されます。
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ここで、あれ? と気づきますよね。
その、アンヌが映画化したい2人の話って、それそのまま前作の『男と女』じゃないか、って。
つまり、前作を見てる人にとっては、すでに2人の愛の物語がどんなものかを知ってるので、
え? 観客がすでに知ってるものが、この続編の中で、劇中劇として制作されていくの?? と。
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で、実際の撮影現場のシーンがあり、それとは別に、「実際の過去の2人」が随所にインサートされます。つまり、前作『男と女』から各シーンが挿し込まれてるわけです。
この時点で3重構造。
・本作『男と女Ⅱ』の中の時間軸
・2人の愛の物語の映画撮影軸
・2人の過去の軸(『男と女』のインサート)
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ここまででもなかなかややこしいのに、この中にもう一つ、全くベクトルの違う軸が発生します。
「殺人鬼の脱走劇」です。過去に殺人を犯した男が、精神鑑定の結果無罪となり、精神病院に収容されていたのですが、その男が街中に脱走してしまう。
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さらに、アンヌが作っていた2人の愛の物語が、試写にかけてもあまりにも不評なため、なんと、途中から、同じ役者を使って、全く別の映画を撮り始めてしまいます。
それが、この「殺人鬼の脱走劇」というwww (アンヌが脱走劇を撮影してる段階で、実際に脱走した犯人は捕まる前に自殺しています)
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そして、今度はジャン・ルイの軸。
彼はレーサー兼チームの総監督として、パリ・ダカール・ラリーの会場に向かうため、砂漠を走るのですが、
彼には若いフィアンセがおり、しかもこのフィアンセ、ジャン・ルイがアンヌと再会したことを知って、嫉妬から精神的に不安定になり、
「砂漠のど真ん中で」泣きじゃくって取り乱し始めたため、やむなく(めちゃくちゃ迷惑ですが)、ジャン・ルイは彼女を帰すため、チームとは別行動を取ることになります。
そして、フィアンセは恐るべき行動に出る・・・と、こういう流れ。
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めっちゃカオスでややこしい展開というか、構造を持った映画というか。
いやマジで、ルルーシュは狙ってこういう構造にしたのか、結果こうなっちゃったのか。なかなか見ないくらいのカオスワールド。