ゴウダナオ

溺れるナイフのゴウダナオのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
5.0
高校生の時、愛はこれが正解だと思った

私の、もしかしたら、私たちの特別を壊したくない。綺麗なまま、美化されたまま心の中にしまいたくて。私がものすごく連絡を取りたい時は、多分相手と遠くで共鳴していて、同じことを考えているだろう。だけど、いつも連絡を入れるのは私の方。平等の愛、ではなく、私の、ただ私の一方的な愛に変化する。どうしてだろう。私はあなたのことを一番だと思っていたのに、あなたも私のことを一番だと思っていただろうに。お互いに一番だと思っていたのに、お互いにとっては一番ではなく、他の誰かが一番だと思っていた。お互いの孤独が私たちを繋ぎ止めていた。それが微妙な差異を生み出してしまう。口ではなんとでも言えよう。いくら私が好きだと言っても、その心の中は、わからない。お互いに自分のことを一番愛していて、自分のことを一番信用していなくて、自分のことを一番嫌いだった。

もうあの人を超えるようなことは、今後ありえないと思う。その時の環境、その時の感情、その時の関係。いくら呼び起こそうとしても、思い出せない。痛くて堪らない。お互いに特別だと思うから、踏み込めない。もうあの時の激情のような言葉を伝えられない。

毎週末、泣いていたことを思い出す。ベッドに横たわる時の無気力、脱力感。

このままずっと愛せると思っていた、もう愛ではなくなってしまった感情に、なんと名前をつけようか。