いぴ

溺れるナイフのいぴのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
4.7
よみうりホールでの試写会にて鑑賞。

怒涛の2時間。
手に汗を握るシーン、
冷や汗をかくシーン、
うるっとしてしまうシーン。
ぎゅうっと還元濃縮されてこってりとした、ド迫力の映画でした。
目を逸らしたくなるような、でも逸らさず観ていたい。そんな映画でした。

商業映画の筈なのに原作のイメージを壊さない脚本と世界観。
2時間だけ違う世界に連れていかれたかのような感覚に陥るカット割りとコントラスト。
10代の爆発しそうな溢れ出るエネルギーが静かな描写と激しい描写の使い分けでしっかりと描かれており、その世界観に引きこまれどっぷりと着けられるようでした。
カメラの長回しが感じられるようなシーンがいくつかありましたがどのシーンも自然さが溢れていて凄く良かったです。

菅田くん演じる、コウのありあまるパワーと激しさには全神経を持っていかれ、またナツメのことを思いやるぶっきらぼうな性格もよく表現されていて脱帽という言葉がぴったりです。
菜奈ちゃん演じる、ナツメのコウを追い掛け続けている必死さはなんとなく分かり合えるようなものを感じました。

10代という儚い時間。
心から欲するものと守りたいもの。
自分の無力さと思い知る限界。
10代の私たちのかっこ悪いところがリアルに風刺されていて、そんな中でのふたりが必死に導き出した答え。
ラストシーンにはとっても感動させられました。
TVでは味わえない、もう何回かスクリーンで観たい映画になりました。
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