すとんこ

葛城事件のすとんこのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
3.5
パンフレット所有

“父母兄弟”のありふれた構成の四人家族。
横柄に振る舞う“父”、旦那の影に怯える“母”、父の期待に応え続ける生真面目な“兄”、父の期待に応えられずにどん詰り街道まっしぐらな“弟”。
そんな“弟”が通り魔殺人をやらかす!
そのとき“父”は・・・って話☆

周囲に“オレ理論”を強要しまくるオラオラ系オヤジを演ずるは三浦友和!
「いるいる、こんなオッサン♪」なんて最初は笑って見てましたが、次第に「あれ?自分にもこんなとこあるな・・・」と思い始め、一歩間違えばどこの家庭にも一家崩壊の危険性を孕んでいることを認識し始めてからは、こちらもドヨーンと重たい気持ちで鑑賞しました( ̄▽ ̄;)

家族の幸せを信じ、それを守ってきたという自負を持つ“父”にとって、現在の状況に至った事実を認められない。
やり直そうにもその対象が存在しなくなった状況に置かれた“父”の姿が痛々しく悲しい。

スナックでデュエット曲を一人で高らかに歌い上げる“父”
「そう言う話をしてるんじゃないんだよ!!」と中華料理店で店員にクレームをつけまくるモンスターっぷりを披露して悦に入る“父”
幸せだった頃の家族写真をひとり眺める“父”
こどもたちの成長を祈って植えた“蜜柑の木”でとった“父”の行動とその結果・・・
などなど、切ない“父”の姿にグっとくるシーンのオンパレード☆

子を持つ親の立場のわたくしとして“父”の姿に注目せずにはいられませんし、来世ではきっと幸せになって欲しいと思える一本(* ̄ー ̄)

本編上映後に監督の舞台挨拶がついていたのですが、そこにサプライズで新井浩文さんも参加されました☆
とても軽快な語りを披露していただき、重い本編とのギャップにいささか戸惑いましたが、撮影の裏話なども聞け、とても楽しいイベントでした(  ̄▽ ̄)♪
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