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ガタカのsachixxxのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
5.0
二度目の鑑賞。この映画が製作されたのは97年なのだけれども、今観てもとても新鮮に感じる。あらすじは悪い遺伝子を排除して、良い遺伝子を持つように人工的に受精させられた子供の誕生が当たり前の時代、物語の主人公は自然分娩で産まれたヴィンセントである。産まれてすぐの検査で彼の寿命が30年、心臓が弱いことを宣告される。彼の両親はのちに二人目の子供を授かるのだが、人工的な方法を選ぶ。弟は兄と対照的に健康で産まれる。両親はそんな弟に愛情を注ぎヴィンセントも自分の身体と弟の身体には決定的な違いがあることを幼いながらに理解する。宇宙飛行士になることが夢だったヴィンセントは宇宙事業を扱うガタカ社に入社するのだが、この会社は、遺伝子の優劣のみ重視する会社。彼は優れた遺伝子を持つ、ジェロームから遺伝子を買うことを決め、自身の正体を隠しながらジェロームとしてこの日から生きることになる。作品からは日々進化する科学への警鐘も感じる。ジェロームという人間も優れた遺伝子を持ちながらもそのプレッシャーから自殺を図り、下半身不随となる。また劣性の遺伝子を持つヴィンセントが優性の遺伝子を持つ弟に水泳で勝利する姿、正体を隠しながら会社の中で努力をして夢へと邁進する姿、対照的な遺伝子を持った人間の姿を描くことで優れた遺伝子を持つ人間が必ずしも社会的に地位や名誉を獲得できるわけではないということを強く訴えてくる。映画としてそんなに長尺の作品ではないだけに、106分という短い時間の中に良くこれだけ濃い内容を詰め込んだなと感心してしまう。
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