きぬきぬ

パティーとの二十一夜のきぬきぬのレビュー・感想・評価

パティーとの二十一夜(2015年製作の映画)
4.0
母の悲報を知り、疎遠の娘カロリーヌは弔いの為、奔放な母が住んでいた森の中の館‘秘泉館’を訪れる。
出迎えた館の管理人パティは奔放にセックス体験を語り出すところなんてもうケッサク(笑)パティと彼女の物語を書こうとしていたカロリーヌの母親とは気が合っていたのだろうな。

森の集落や祭り、そこは母親の秘密の園のようで、カロリーヌは閉ざされた館や森の陰影に不安さ漂う感じがするけれど、それは閉塞感というよりも、不思議の森へ迷い込んだよう。
そして或る夜、母の死体が消えてしまう。
そして著名な作家ル・クレジオ(小説の引用がまた良いのだけど)と思わしき男(このアンドレ・デュソリエの不審さがまたケッサク!(笑)が現れる。
憲兵隊員からネクロフィリア(死体愛好者)が出没してる不穏な話を聞きながらも、男/作家?に舞い上がるカロリーヌ。怪しくないのその男?(苦笑)

奔放な母を受け入れられず疎遠となったが、家庭や人生、不感症的に閉ざした性からも解放されたいのに、なかなか自身を解放できないカロリーヌのイザベル・カレがとても素敵!
村の祭りの後、カロリーヌが冒険するように夜の森を歩く場面から、それまでの狭い画面サイズが拡がり、美しい目覚めの朝を迎える。
自由に生きた母親は娘も解放したかったのかも。
解放された性と生。まるで死からも解放されるみたい。ゆる~く自然に生きる田舎の人たちがさりげなくユーモアで、不思議な大人の童話みたい。

音楽がまたアメリカンブルース&カントリーな感じで、それがまた良いのだわ。
方言強い田舎町の男ドニ・ラヴァンもなかなか楽しい(笑)
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