映画好き交流CINEPARA

SCOOP!の映画好き交流CINEPARAのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
4.2
【じぇれのレビュー】

2016/10/5

褒める前に苦言。なにゆえPG12? この作品は、子供を捨ててR18で仕上げるぐらいの気持ちでなければダメでしょう。描写を緩くしてレーティングを下げたところで、小学生が喜んで観る内容ではないですし。

はい、ここからほぼ絶賛レビューです。(少しダメ出しもするけど)

とにかくテンポがよく、福山さん・二階堂さんの師弟コンビによるパパラッチ講習が楽しい、楽しい。テンポよすぎて、乗り気じゃなかったはずの野火(二階堂さん)があっという間にパパラッチにハマるのが説得力ありませんが、まぁいいじゃないですか。
スクープを撮るための手法も工夫されていて、快調、快調。この辺りは、『バクマン。』で見せた大根監督の劇画感覚ならぬコミック感覚が、存分に活かされています。

また、編集部会議のシーンは若干段取り感がありますが、編集長役中村育二さんのどっしりとした存在感が全てを包み込んでくれます。滝藤さん、吉田羊さんに対抗して、色々テクニックを見せたくなるのが役者のサガですが、中村さんは抑えた芝居で下支えに徹しています。いい俳優だ!

そしてそして、問題のラスト30分。賛否分かれる内容ですが、私は断然支持派! これでこそ映画です。
原則核心にまつわるネタバレなしでメインレビューを書くことにしているので、詳しくは説明できませんが、キーワードは「決意」。
この物語はジャーナリズムの考察ではなく、何者かになんてなれないと諦めた男が、再び何者かになろうと決意する物語。そして、その生き様を受け継ぐ女の物語。
つまりは、観ている私達が受け継ぐ物語なんです。

ただ、エピローグは少々冗長でした。もう少し簡潔に象徴的なカットで締めてくれれば、より深い余韻を得られたことでしょう。
EDも同じ。大根監督ならではの洒落た映像に仕上がってはいますが、そのせいで「福山雅治PV」のような印象に。惜しいなぁ。

結局ダメ出し比率が予定よりも高くなってしまいましたが、ホント大根監督は素晴らしい仕事をしたと思います。
「俺は映画監督なんだ!」という大根監督の心からの決意表明を聞いたように思え、清々しい気分で映画館を後にしました。

という訳で、皆さんもぜひ映画館でご覧下さい。

あ、ある俳優をべた褒めしようと思っていたのに、締めちゃった(笑)
ま、いっか。他の方々が色々と書いてますから。