じゃむお

SCOOP!のじゃむおのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
3.8
大根仁監督の作品は去年のバクマン。と、今年初頭の電気グルーヴの映画と観ています。バクマン。の時はCGの使い方が上手いなと思いましたし、電気グルーヴの時は歴史を振り返りつつ、本人達のインタビューではなく外部の人達へインタビューをし、音楽シーンに与えた影響を捉えるという作りに感動しました。

監督への信頼感とこういうゴシップものは好きなので観た今作。観終わった後に思ったのは大根仁監督はギミックが上手い人じゃないんだ、狙ったところに確実に作品の本質を伝えられる、スナイパーのような監督なんだという事でした。

映画の話をする時にでるストーリーや演出のツッコミどころですが、この作品は狙って外しにいっている部分以外はツッコミどころはほぼないです。伏線の回収のしかたや、状態や心情をわかりやすく伝える演出やセリフは本当に丁寧な作りをしているなと感心しました。やや長いかなとか、ラストのスクープの取ってつけた感はありましたが。

この作品で描かれるスクープカメラマンは我々が思い描いているスクープカメラマン像以上のものではなく、宣伝でされているような、ゴシップ誌の裏側やカメラマンの裏側を描く作品ではなく、
ターゲットの30才から40才くらいの人に「下の世代に何を残してあげられるのか、残せるような生き方をできているのか」というのをスクープカメラマンの生き様を通じて描かれている作品です。

なので、ケイパーもののような作品かと思って観に行くと少しがっかりするかもしれないです。しかし自分はそのテーマ性に感動しました。

ツッコミどころがなさすぎて可愛げがないくらい洗練された映画でした。
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