百合

ヒットマンズ・ボディガードの百合のレビュー・感想・評価

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それが人生さ

マザーファッカーおじさんとデップーちゃんとゲイリー・狂気・オールドマンの豪華すぎるキャスト。なぜネットフリックス限定公開なのか。完全にスクリーンで観たかった。完全に。
サミュエル御大は68歳らしいけど全然元気で嬉しかったなぁ。あの白い歯と笑い声はまだまだ健在。ライアン・レイノルズもまぁよくしゃべるしゃべる…神経質そうさがあまり出せていませんでしたが(ていうかライアン・レイノルズっていつもライアン・レイノルズだよな。上手く隠れられてたの『TED』くらいしか思いつかない)情けなくて理詰めのちっさい男って感じがしてよかった(失礼)。ゲイリー・オールドマンも相変わらずちょっとイッちゃってる役がなぜあんなに似合うのでしょうか。TTSSでは公平で理知的な老犬のような上司という役が通っていましたがそうだよな、基本はヤク中警察官のスタンフィールドだもんな…(『レオン』)。
最期のシーンも笑いました。こういう小さなパロディちょくちょくあるんだろうけど気づいてないんだろうなぁ!!!ライアンと彼女の出会いのシーンは『デッドプール』のパロかね。あと「ホームズ」って言わずに「シャーロック」って呼んだのはBBCのドラマ…?まあポスターからケヴィン・コスナーのパクリだもんな。あれはどういう空気で撮影したの。笑わなかったのみんな。
サルマ・ハエックもよかったですね!姐さんという感じほんとうに。わたしもあのヒスパニック系の英語でまくしたてられたあとにちょっと優しくされたい。イチコロです。
『エクスペンダブルズ3』のパトリック・ヒューズ監督ということで『エクスペンダブルズ』シリーズが全然好きじゃないのですがこれはよかったなあ。序盤はなんてことない撮り方でごく普通に観られましたが、終盤の大カーチェイスシーンと街中に放り出されたライアン・レイノルズの決闘シーンが本当に良かった。カーチェイスはもう言うまでもない。きちんと追うべきところを追って観客を取り残さない工夫。あと“愚痴ってるライアンとドンパチに巻き込まれる周り”の静と動の感じも王道におもしろいよね。全世界共通のツボ。ライアンの手持ち撮影での格闘シーンはなんでああも偏執的にこだわったのでしょうか。いや笑うけどさ。音楽とあんな同期できるものなのね。ちょっと『ララランド』『ベイビードライバー』を感じました。どうやって撮ってんだこれ…というシーンがあと数箇所。話の緩急と撮り方自体の緩急が合っているのが上手いなぁと。
ただお互いの過去を開陳するシーンはなんというか少しばかり不自然というか…やっつけというか…?その点で脚本はイマイチかなぁ。あんなもんなんですけどね、リアルな世界はね。でもそこはやはり映画だからね…
生きるか死ぬかの状況なのに終始恋バナしてるおじさん2人っていうね〜2人をつなぐのは利害でも過去でもなくこれからの恋人との未来なんですよね。徹底的にオープンな関係。常にうつろいゆく人生はクソだけれど、それでも生きる価値があって、愛する人がいる。そのことを手放しに説くサミュエルに、次第にライアンは耳を傾けてゆくわけです。「それが人生なのさ」と疾走する車内で繰り返し聞くことができたからこそ、ライアンは成長できたわけですね…
サミュエル御大とサルマ様の運命の出会いのシーンが一番好きでした。「誰も客の顔と名前を知らないバーで」「男の頚動脈を搔き切る彼女を見て、運命の人だと思った」いやクレイジーすぎるだろ…。
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