やっぱりカルカン

ハドソン川の奇跡のやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
3.7
前から見たかった映画。少し前※にBSで放送されていた「ハドソン川の奇跡」を見逃して非常に悔しい思いをしたので、今回の放送はとても嬉しかった。ありがとうフジテレビ!
※ちゃんと調べたら2020年8月11日火曜日にNHKBSプレミアムで13時から放送されていたようだ。約1年前か…全然少し前じゃなかった(笑)

この事故も記憶に残っているし実話をもとにした映画だという事も知っていたが、機長のサリーがマスコミや事故調査委員会に責め立てられる構図になる「脚色」は正直不愉快だった。
事故自体、飛行機が離陸してから着水までわずか5分間の出来事で、実際は機長の判断と技術を誰もがみな称賛していた。そのまま映画を作ったら30分ぐらいで終わってしまうし実際出来上がった映画の上映時間も1時間36分しかない。無理矢理でもストーリー上の盛り上がりを作るため何かしらの脚色をしなければならなかったのは分かるが、わざわざスカッとジャパンみたいな構成にしなくても当時の乗員乗客へのインタビューを織り交ぜるとか、搭乗者一人一人の1549便に乗るまでの経緯や生還後のドラマをフィーチャーするとか、若い頃の機長のくだりをのばすとかもっと他のやり方で引き延ばして欲しかった。

そもそも私はストレス耐性が無く、最後の「スカッと」に至るまでのくだりがイライラしてしょうがないので「スカッとジャパン」が心底嫌いだ。Twitterで何名かの人が「これは事実と異なる」「本当は形式上の取り調べが行われただけで委員会から疑われてはいなかった」「みんなが称賛していた」と発信してくれていたので冷静に見ることが出来たが、なんでわざわざこんなに機長がかわいそうな(悪者だと思わせるような)構成にしたのかと段々疑問に感じてきた。一歩間違えば機長に対しても失礼じゃないのか?

しかし俳優さん達の演技や細かい描写、映画としての仕上がりはまあ良かったのではないかと思う。元々「メーデー!」やドキュメンタリーも好きなので点数は高めになったが何回も観たいかと聞かれたら、しばらくはもういいかな…

あと、緊急時に飛行機のシステムが発する警報「対地接近警報装置」(たいちせっきんけいほうそうち、Ground Proximity Warning System、GPWS)の自動音声などもいちいち日本語吹き替えしてあって違和感がすごかった。吹き替えのせいで緊張が緩んでしまって、なんだか間抜けな印象になっていた。いくらなんでもさすがにそこまでしたらやりすぎ。

5年後ぐらいに字幕で放送されていたら多分また見ると思う。