宗谷素生

ハドソン川の奇跡の宗谷素生のレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
4.0
ドラマチックなドキュメンタリー。爽やかな感動と機長の不断の実践への感服があった。
「ハドソン川の奇跡」という事象よりも「サレンバーガー機長」という人物にスポットが当てられた構成で、機長の行く末を案じる展開を、手に汗握るように観ることができた。原題の「Sully」に納得。
実直で目立つのを好まなさそうな人柄が感じ取れるトム・ハンクスの演技も渋くて格好いい。
サリーへの熱烈な信頼を貫いた副機長の存在は、観ていてありがたかった。
チャーミングな大型犬のようなアーロン・エッカートが可愛らしい。

DVD特典のサレンバーガー機長のインタビューも良かった。
「英雄と呼ばれて、はじめは滅相もないと思った。しかし、届けられる手紙を読むうちに、"ハドソン川の奇跡"は、経済恐慌や失業率増加で失意に沈む人々の希望として映ったのかもしれないと考えるようになった」という内容の言葉があった。それから、英雄という大きな称号を引き受ける使命感を抱く器の広さに感服した。‬
当時の機長や家族の苦しみや、奥方から見た機長の魅力も語られた。その中で一番胸を打たれたのは、奥方が笑顔で言った、「こんなに有名になったけど、サリーは全然変わらない」という言葉だった。
宗谷素生

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