ゆうたろう

ハドソン川の奇跡のゆうたろうのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
3.4
讃えられることも、時には人を苦しめる。

自己評価と、他人の評価とのズレは、心地悪いものだ。誰にも自分は理解されないのだと、強い孤独を引き起こす。

過小評価と、過大評価の間で翻弄されるサリーは、どんなに孤独だっただろう。

せめて自分を信じられればいいのだが、自己評価があっているとは限らない。時には他者の評価とすり合わせることも必要なのだ。評価はいつだって相対的なのだから。

例えば叙事詩に出てくる英雄のように、リーマンショックに端を発する波乱の時代だからこそ、彼は英雄とされた。時代、環境、あらゆる要因で評価軸は変わる。

状況を共にし、もっとも正確な評価をしうるジェフとの会話、そして調査団とのやりとりは、彼の自己評価と他者評価のすり合わせだった。

客観的事実をいかに正確に把握するか、そこから生まれる主観的評価をいかに受け取るのか。どちらもとても体力を使う。誤解はそのままに、賛辞も酷評も受け流す。そうしていれば楽だが、その先に待つのは孤独だ。

サリーは強かった。乗客との絆を感じさせる最後の一部始終は、彼の強さの証だ。



あとは、原題と邦題で、ずいぶん印象が変わるのは気になった。「ハドソン川の奇跡」という邦題はよかったんだろうか。。そちらの方が引きはあるのだろうけど、ストーリーに沿うならば原題の「Sully」だよなあ、とか。


あとは、トムハンクスのかっこよさたるやって思ってたけど、最後にサリー本人出てきてどえらいかっこよくて、いや、もう、ただの英雄やん、ずるって言った。