PIENO

リップヴァンウィンクルの花嫁のPIENOのレビュー・感想・評価

4.0
『リップヴァンウィンクルの花嫁』@アップリンク映画鑑賞後、久しぶりの岩井俊二節を聞いた。最後の質問者の監督の回答が明解だった。黒木華演じる七海の優柔不断に見ているこっちがイライラするという質問に対し、SNSでイイネをたくさんもらってなかなか決断できない人がたくさんの現代において、七海はその象徴でもあり、むしろ普通に写るという答え。

映像美に対するこだわりはトークでも伺えたし、僕自身も岩井作品を観てきた身としてわかってはいるけど、毎回はっとさせられるのは現実と作品がシンクロしているという点にある。いわば、それは社会を予知し切り取っているという感じ。冒頭のシーンと劇中で不倫やAV女優を取り上げているけど、岩井監督作品はいつも社会性を帯びていて、監督の臭覚に驚かされる。

復活したYEN TOWN BANDが主題歌の『スワロウテイル』はもう20年前の作品。円(一攫千金)を求めて日本にやってきた外国人の話であるけど、今なんて労働力を安く買うのは当たり前で、ヨーロッパでも、中東でも移民問題は切実だ。日本だとこれが非正規雇用の問題に当たる。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』でも、「幸せ」と「お金」の関係がCocco演じるAV女優の真白の台詞「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」にある。幸せすぎて、有難すぎるから壊れてしまいそうで、その幸せをお金に代用することでわからなくしている(途中)
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