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イップ・マン 継承の福福吉吉のレビュー・感想・評価

イップ・マン 継承(2015年製作の映画)
3.5
香港で詠春拳の師範イップ・マン(ドニー・イェン)は武館を営み、妻子と静かに暮らしていた。そんな中、アメリカ人の不動産屋フランク(マイク・タイソン)が地域の再開発のため、小学校の土地を買収しようとしていた。拒否する小学校側に対して、フランクの手下たちが嫌がらせし始め、イップ・マンとその弟子たちが自警活動を行うのだが...。

本作は前半に小学校の地上げ騒動の話、後半に同じ詠春拳のチョン・ティンチ(マックス・チャン)の成り上がる話を中心に描いています。

前半の小学校の地上げの話は、香港が西洋人のやりたい放題な状態であるように描かれており、違法な地上げ行為を行っても、フランクと警察のトップがつるんでいて見逃される腐敗ぶりでした。地上げを行うフランクの手下たちの行為が小学校の校門を封鎖したり、小学校に放火したり、挙句の果ては小学生をさらうといった極悪ぶりで、観ていて腹立たしい展開でした。そのわりには、イップ・マンとフランクが少し闘ってあっさり終了したので、それまでの怒りの行き場が無くて困りました。マイク・タイソンという個性の塊は何かを演じることには向いていない気がしました。

後半になると、チョン・ティンチが詠春拳の武館を開き、打倒イップ・マン目指して、名のある武館の師範を倒していく様子は観ていて面白かったです。それと並行して、イップ・マンの奥さんの病気の話がかなり重く、奥さんのために尽くすイップ・マンの姿と、夫を思う奥さんの気持ちがとても良く描かれており、お互いの愛情の深さが伝わってきました。

拳法アクションは相変わらず健在で、多くのフランクの手下たちをなぎ倒していくイップ・マンの切れのある動きやチョン・ティンチの見せる力強い攻撃は観ていてやはり面白いです。マイク・タイソンはおまけ程度です。

前作と比べるとアクション要素は減っていますが、イップ・マンとその家族の繋がりを描いた作品として良かったと思います。

鑑賞日:2022年9月28日
鑑賞方法:BS/CS ザ・シネマ
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