ろく

ミッション:インポッシブル/フォールアウトのろくのレビュー・感想・評価

4.3

回を重ねるごとに凄みを増すイーサンのアクションに度肝を抜かれっぱなしの2時間。
ところどころに前作までのオマージュ・小ネタがあふれていて、復習して見るとより楽しめる仕様になっているのは嬉しかった。

大きなテーマは「イーサン・ハントの苦悩と、救済」
本当の意味で彼が「ただの人間」に戻れたわけではない、もちろん。
だが差し伸べられた「救済」の手は、希望の光といって差し支えないほどに輝いていて、ぐっと心にきた。

全体としては、個人的感覚で言えば、前作RNから「小気味良さ・痛快さ」を半減させて、「えもいわれぬ美」を倍増させたような。「エクス・マキナ」の撮影監督さんが今回参加しているということで、納得。随所に美の裏側に隠れた恐ろしさを見せつけてくる。
ウォーカーの横顔の美しさ、ハンリー長官の影の美しさ、大自然の美しさ、どれをとっても言葉を失うほどに端正で、儚く、絶望の象徴のように、ゾッとする。
そんな耽美にあふれた瞬間と、アクションゴリ押しの瞬間、それらが融合した瞬間が怒涛のように流れていって、初体験に近い映像体験だった。

ストーリーとしては始まって数分で大筋が見えてしまう上に、「騙し」もそこまで手が込んでないのですぐ見破れてしまって面白みはなく、新キャラウォーカーも魅力と言えばカヴィルさんの外見だというぐらいで求心力はゼロに近いのだが、「俺らが見せたいのはそこじゃねえ!!」というスタンスの映画なので問題ないのだろう。撮影中も脚本が定まっていなかったというならこうなるのも仕方ないのかもしれない。
なので今回は「トムクルーズの挑戦VTR」アクションとしては楽しめたと思うが、上記の点では前作を全く凌がなかったので、肩透かしであった。次作に期待。
ろく

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