"新海誠作品＝切なく淡いセカイ系"というこれまでの作風から、今回は猛烈にポップで明るい作品へと変化した。
入れ替わり、青春、家族愛、ディザスター、ミステリー…これでもかというほどのヒット要素を詰め込んでいながら、作品全体のバランスはある程度保たれていて、最後まで飽きさせない。
運命の男女二人、時空間の大きな距離、すれ違い、宇宙、MV的演出(RADWIMPSの過剰さは受けつけなかったが)など、新海作品において欠かせない要素が使われているのは変わらない点だが、全体の雰囲気、テンポ感、結ばれるラストなど、変わってしまった点も多い。特に、全体的にコミカルで明るくキラキラした雰囲気は、集客層の幅を広げ、エンタメ映画としての成長、商業的大成功をなした大きな要因のひとつでもあると思う。
ただ、"終始静かな雰囲気の中、二人の間に希望と呼べるような明るいものはなく、それでも惹かれあい、すれ違い、そして最後は結ばれない！"という、この切なさや儚さこそが最大の魅力であると感じていた自分にとって、この作品に響くものは感じられなかった。
相変わらず背景がとても美しく、これまで以上に細かなところにまでこだわられた繊細な美術には、感動した。
また観たい。
