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何者のmaiのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.8
キャストが豪華というのと、原作が朝井リョウさんというので観てみました!

みんな一癖も二癖もある設定で、その人のどこかしらに自分が当てはまってしまうから、みてる側として客観の立場でいるはずなのに「うわ、その負の感情わかる…」という共感でいっぱいになって辛くなるシーンも…。笑
そして、佐藤健演じるたくと!
この役どころって、絶対にみんな通るキャラクターだと思うんですよね。
もちろん常時他人を分析する人もいるし、逆に腐っちゃってる時にふと相手を斜めから分析しちゃって嫌気が差す人もいるだろうし。程度はそれぞれだと思うんですけど、確実に言えるのは「自分がうまく行ってない時って、誰の喜びも祝えないし、なんなら粗探しをしたくなる」という点だと思います。
自分に直接影響力がなくったって、自分がうまく行ってない時ほど他人の成功や努力は眩しすぎて鬱陶しく感じます。
そして、そんな相手も大したことないんだって粗を探すことで何とか平静を保つわけです。そんなことしても、何も生まれないしメリットもないって分かってるけど、そうでもしないと何者にもなれない自分や何事をも成し遂げられてなくって、途中で諦めてしまった自分を正当化できないんです。私は、あの子みたいに妥協で生きてるわけじゃないんだ。自分は、あの人みたいに先の見えない将来に飛び込むほど夢見がちなわけじゃないんだ。
そんな風にして、一歩すら踏み出せてない自分を慰めてあげたくなるんです。
なんだか、そういう気持ちって就活だけじゃなくっていろんな場面で遭遇するから、就活生はもちろん学生ならば刺さりまくる映画だろうなぁと思いました。

だからこそ、ラスト20分くらいの展開は衝撃というか辛くもあったけど、爽快でもあったなと思います。
自分がやってきた「分析」という逃げから脱して、自分の弱さだったり辛さを吐露する。そこがスタートラインなんだなって思いました。
そして、そういう心理面って伝わってないだろうと思ってても、きっと面接官に伝わるものなんだろうなぁと感じました。
その人と仲良くできるかどうかって、あって数秒で判断するってどこかで聞いたんですけど、まさにそれなんでしょうね。全部聞かなくっても、その人のプライドの高さや逃げとかの感情って隠せるものじゃない。

みんなことごとく演技上手いから刺さりまくって仕方なかったです…わたしはまだ就職活動は数年後なのですが、友人は今年が本番とか来年のために今インターンをとかで、少しずつ自分の周りも就職の雰囲気が出てきてるので、なんだか身につまされる思いでした。

面白かった!というか、よくここまで抉り出した内容書けるな…と作家・朝井リョウさんの真髄を見た気がします。
そして、それを彩る役者・音楽・演出が素晴らしかった。
会話の音量調節だけが難しかったかな…大きくなったりかき消えそうになったり。笑

就活中の人は精神面的に見ない方がいいのかも。
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