あおいことり

タイム・トゥ・ランのあおいことりのネタバレレビュー・内容・結末

タイム・トゥ・ラン(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

持ち点0.5±
★監督 0.5
★演者 0.5
★演技 0.5
★脚本 0.5
★感情 0.5
★評価 0.5
★特筆 0.5

強盗の結果は散々だった。その状況を思いがけない協力者が何人も現れて助ける。たまたま良い方向に転んだだけ。ポープが死ぬ前に家族との愛に生きれば良かったと後悔していたのもタイミングがあっただけ。

ヴォーンは色々な最悪を想定したと思う。
逃げ切れない事を前提とした《左手だけ見てる間に右手で魔法をかける》ミスリードを狙ったシナリオを練るヴォーン。

でも穴の多いシナリオだ。

そのシナリオに運が味方する。まずはクリスが善良で勇敢な婦人警官で道路の封鎖が解かれて逃走が続行できた。予定通り妹がカバンの中身をぶち撒けて30万ドルの移し替えに成功。子供が乗車していた為、子供と妊婦が降りた方が良いと比較的スムーズに決まって下車したこと。車内でのヴォーンの行動が他の犯人と違うと思わせる事が出来たことも一因。子供と妊婦の安全を優先、ナイフでヴォーンを襲った乗客に対して制裁を加えず、仲間に気づかれないよう対処。獣医見習いの女性をかばい、運転手の命を助ける。また娘との電話での父の顔とその直後の悲痛な叫びも、乗客や運転手から交渉の余地があると思わせたのだろうと思う。物語では語られていない憶測だけど、ダンがポープの息がかかった警官に殺害された事とコックスを殺害した事で残りの270万を乗客と運転手で分配すれば、口裏を合わせることが出来たのも嬉しい誤算だった筈。現金全てが消えたならそういう想像も楽しいというか。《左手だけ見てる間に右手で魔法をかける》なら観客も妹の方に気を取られてる筈だし、そうかなと思った。ポープに関しては前述のとおり。最後のオチは読めていたけど、ご都合主義をうまく脚本に落とし込んでいて地味に良い作品だった。ヴォーン、ポープも格好良い。

《考察》
一か八かの運試し。
資金洗浄用の現金は300万ドル。そのうち自分は30万ドルあれば良い。妹を巻き込んでしまうが、ひとまず現金を持ち出したら別行動でバスに乗車。妹に現金を預けた後にできる限り逃走をしてから捕まる。自分の命は犠牲にして構わない。

例えば、強奪に成功した場合。コックス達が車で逃走して270万ドルを持ち去り、自分だけ単独行動が出来ればベスト。3人は自分の3倍の取り分なので裏切りのリスクは少ない。現金を妹に手渡しさえ出来れば良しとする。逃走中に捕まって死ぬ事があっても現金はコックス達が持っていると言えば時間稼ぎにもなる。

例えば、ミッキーが裏切った場合。コックス達もバスに普通に乗車させて一緒に逃走する。万が一の場合はバスジャックしても乗り込む。すぐに道路を封鎖される可能性は高いが妊婦を交渉の材料に使い解除させるか、ポープと繋がっている一部の警察官が現金回収のため一芝居うつのを待つ。いずれの場合も妹に現金を手渡す。理由をつけて下車させるが失敗しても人質は解放されるため良しとする。消えたのは30万ドルのみ。自分達が捕まって殺されても直ぐに正確な金額はわからないので十分な時間稼ぎにはなる。
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