MikiMickle

死の恋人ニーナのMikiMickleのレビュー・感想・評価

死の恋人ニーナ(2015年製作の映画)
3.7
イギリスのスーパーマーケットでバイトする、救命士見習いのホリー。
ナイーブで影のある同僚のロブに恋を抱く。彼は、恋人を事故で亡くし、そのあとをおって自 殺未遂をしていた。他人に心を開かなかったロブだが、段々とホリーに惹かれていく。
遂に二人は結ばれ、ベッドイン……したのだが、
そこに、彼の亡くなった恋人ニーナが幽霊として現れる……
慌てる二人。
ウソでしょ?‼という驚きと、それからくる笑いで恐怖を吹き飛ばそうとするホリーだが、思わず部屋をとびだしてしまう…
数日後、ロブのもとに戻ったホリーが提案したのは…3人で仲良くHしよっ♪というものだった(^_^;)

なんていう設定(笑)
これ、ホラーでありつつ、コメディでもありつつ、しかし、それだけではなく、深く考えるところもあります。

まず、ニーナの蘇りについて。
行為をしてると、シーツがじわ~っと赤く染まり、血みどろで片足なくて、首もデロンってなったニーナがシーツの中からでてくる‼
幽霊と書いたけれど、肉体がある。
そして、喋る。「私、死んだの?てか、あんた誰よ?‼浮気してんの?‼」と。行為の度にでてきては、「私が元カノ? はぁっ? 私、別れてないし。永遠の愛を誓ったし~。死んでるから、別れられないし~。」と、ごたくを述べる。ホリーに「あんた、自分が気持ち良いだけで、全然ダメね。彼の事わかってないわぁ」的な嫌みをいう。
これがまた、ウザい
もう、ほんと、しつこく何度もでてきてはこんな事ばっかり言ってる

というか、血みどろニーナが隣にいるのに、行為を続けられる彼らがすごいっていうね(笑) 信じられない
ネクロフィリアかっ‼
ニーナ挟んでの川の字で寝ている所とか、かなりシュール

毎回血みどろになるシーツを交換して、大変だなぁ…と。 白のシーツじゃなくて、赤にしなよって思ってたら、赤になった(笑)

まぁ、Hするとでてくる(後にそうではなくなる)ので、そのシーンはかなり多い。
まぁ、ニーナは「感覚ないから、3人でとか別に、知らんし…」と、傍観。
そして、どんどん過激になっていく二人……
いやらしいというよりも、セクシーではありました…

そんな映画だけれど、本質は、「依存」と「未練」と「死」と「救う事」。
ニーナのかなりヤバ~イ両親とロブとの相互の依存からはじまり、もちろん、ニーナとロブとの依存と未練、ニーナの生きる事への依存と未練…… シーツを取り替えても、マットレスに残る血の染みは消えない…

地味な男に「僕のダークさとあわない、君は普通すぎる」といってふられた奥手なホーリーだったが、ロブと出会ってからはダークなフェティシズムなエロティックさを発揮していく。彼女の変化はなぜなのかというと、「死」というダークなものへの憧れであったのだと…
そして、自殺未遂をしたロブを「救う」、ニーナとの関係を続け彼女を「救う」、という、いわばナイチンゲール症候群により、自分の存在と、それによるある意味でのドラッグ的快楽を得ていたのではないかと…
成仏して欲しいと願ってとる彼女の行動は、時に異常で、時にピュアで、時に変質的……
後半は、ロブそっちのけで、ニーナとホリーの関係性がメインになっていく。それは、依存と必要性の変化だったのか。そもそも、最初から、ロブは蚊帳の外だったのかもしれない…
ラスト、こうなるのかと…突飛だけれども、納得。これも、共依存からくるものなのだと…

ホリー役のアビゲイル・ハーディンガム。これが初出演なのかな… 大きい目、アンニュイで暗さのある表情、小悪魔的なセクシーさ、大胆な脱ぎっぷり。ホラーヒロインとして、申し分ないですね♪これからも期待大っ‼‼
ロブはシアン・バリー。彼も知りませんが、顔的に好き。役的にはある意味ダメ男で、ニーナに対し「君は死んでるんだ‼」と言いつつも、ホリーに「愛してる‼」と言いつつも、ホリーの積極的なエロにウホホホしつつも、ニーナの両親に翻弄されつつも、微妙な立ち位置を徹していました。
ニーナはフィオナ・オシャーグネッシー。事故後の姿ということもあり、リアルゴスねえちゃん。毒舌だし、鬱陶しいし、だけれども、やはり哀しみを感じます。

あ、音楽がとてもかっこよい‼‼ ブリティッシュなロック♪ これによって、重くもならず、スタイリッシュで、良い意味で変な映画にしてる♪映像もスタイリッシュ。イギリスのじめっとしているグレー感がでていました。
MikiMickle

MikiMickle