ポンコツ娘萌え萌え同盟

中山安兵衛のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

中山安兵衛(1951年製作の映画)
3.9
再鑑賞。
酔払いではない中山安兵衛。
中山安兵衛だと阪妻主演の名作『決闘高田の馬場(血煙高田の馬場)』の安兵衛の印象が強くあっちは酔払いなんだけど、本作『中山安兵衛』は酒こそ飲むシーンはあるけど然程酔っ払った様子はあまりまり見れない。
まぁー主演がアラカンなのも彼の持つ像に酔払いは似合わないとは思うし…。

それでも中山安兵衛のキャラクター像とチャンバラの場面は阪妻の『決闘高田の馬場』の方が上手くできていて(特にチャンバラは圧倒的に)あっちの方が見応えがあるが、
一方で本作の『中山安兵衛』はドラマの出来が良い。父と子、出世を交えた物語に高田馬場の決闘を通して残ったものは武士の世の時代の誇り・快挙などとは裏腹に武士の世の無常さを見る中山安兵衛、ある意味では武士の世のアンチテーゼ的な部分がある。
阪妻の『決闘高田の馬場』のラストでもお祭り騒ぎのような民衆と対比のような中山安兵衛のカットがグッとくるけど、本作ではそれ以上に胸が締め付けられる。

菅野と安兵衛が叔父甥の儀をしている仲だが、やはり父子の姿を観るとどうしても感じるところのある安兵衛。
でも菅野と安兵衛も叔父甥よりも父子っぽい部分も、一方で他の父子との対比を感じる。
本作が父子の部分が強い高田馬場の決闘物語を強く打ち出しているのもあるが。
それで決闘を通して失った部分が強く物語にも感じるものは、喧嘩後の世間、街の人の反応とは正反対に当人である中山安兵衛の心情を想うと、
なんとも言い難い世の無常さを感じるし。
俳優の表情の中にある心情と対比の部分を少し強調しな高田馬場の決闘かな…。
高田馬場の決闘前の寝所にある各キャラクターの反応も良く出来ていてる。