豚

ザ・キューブ ファイナル・トラップの豚のレビュー・感想・評価

2.4
突然謎の小部屋に閉じ込められ、覆面をした男たちから「1月11日に何があった?」と問い掛けられるシチュエーションスリラー。
男には地雷と分かっていても踏まなければならないときがあるという格言があるが(ない)、まさしく玉砕覚悟で踏みに行ってみた。
ご存知ヴィンチェンゾナタリの傑作「CUBE」の模倣というか、全力で邦題・パッケージを寄せて、借りるやつ騙したれ系作品。
というか初代から20年近く経とうかというこの時期に、いまさら「CUBE」の新作と思わせるのはだいぶ無理あるような。
「CUBE」は初代が良すぎて続編やらパチモンの出来がひどいので、今作ももちろん期待値マイナス100万辺りからスタート。

が!!
……思ったより面白かったです。

覆面たちはひたすら「1月11日に何があったか思い出せ」としか言わないのだけれど、主人公はその日の記憶がまったくない。
この構造のおかげで観てるほうもばっちり同じ立場であれこれ推理できる仕組みになっている。
作中でもところどころ推測できる要素が散りばめられていて、意外と伏線もあり思った以上にちゃんとした内容なのは驚いた。

もちろん「CUBE」のような芸術性だとか不可思議感はないので、そのノリを期待すると裏切られること間違いなしです。
ただ、ひとつのシチュエーションスリラーとして観ると意外と面白いと思います、時間も短めなので。
何が言いたいかというと、この邦題つけた配給会社が悪いだけでこの映画作った人たちは悪くないと思います……。

確かに内容は地味なので原題を活かした作りだと見向きもされないのは分かる。
分かるけど、だからってここまで内容とまったく関係ない手法で騙すのってどうなんだろう……。
製作者が意図して真似してるのならまだしも、この映画からは「CUBE」っぽくしてやろ、みたいな匂いは個人的にはまったく感じなかったので、何というか色々歯車が噛み合ってない作品だなぁと思った。
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