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映画 聲の形のBKDNのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
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前半部での不器用なキャラクターたちの様相を観るのが辛く、真ん中あたりの橋でのシーンくらいでガツーンと食らった。

特に植野さんが西宮さんに絡むシーンの緊張感は凄まじく、はらわたが煮えくりかえりそうになった。しかし彼女がある意味ではもっとも人間臭く、気持ちのわかりやすいキャラクターであるのが同時に辛い。

他人の顔にバッテンが貼りついて見えている主人公に自然と感情移入し、ラストシーンで解放されることに感動したが、西宮さんサイドでいろいろ考えるとやはりツッコミどころが...。西宮さんに個人としての役割がなく、「無垢なる障碍者」としての都合のいい解釈でしか物語上に存在していない。まあフィクションだし、それ故に非常に愛らしいキャラクターなのだけど、物語の構成上、そういった設定は結局は意味をなしていない気がする。

結局、西宮さんを理解する(しようとする)までに成長するキャラクターはいないし、西宮さん自身も成長していないように思える。

これがコミュニケーションの大切さをメッセージとして発信している映画なら、正しい解答に辿り着いていないと個人的には感じる。

アニメーション描写が繊細で美しかったり、音楽もとてもよく機能していたり、素晴らしい演出のシーンが多いだけに、惜しい...。

ただ、観ている最中はずーっとボロボロ泣いていた。隣に座っていた人もボロ泣きしていた(笑)。

障碍者を中心に据えて物語をつくるのはやはり非常にシビアというか、よく考えなければならないです。
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