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パウルとパウラの伝説の甲冑のレビュー・感想・評価

パウルとパウラの伝説(1973年製作の映画)
4.0
■DEFA映画特集三日目の記録。

『パウルとパウラの伝説』(1973) 4
300万人の観客を動員したDEFA最大のヒット作品の一つとの事だが確かにフツーに面白かった。こんな開放的な時期もあったのかというくらいミニスカ姿やおっぱいもある。ネットのある説明に「厳しい社会主義国家体制下で1970年前半に一瞬の緩みができ、そのスキマをついて1973年に上映された」みたいな事が書いてあったが緩みって何…。妻子持ち男がストーカー化するあたりから面白みも悲しみも増し最後はちょっとウルッときてしまう。このラストと赤いドイツ語テロップを見てたら『マリアブラウンの結婚』を見たくなってきた。

『ソロシンガー』(1980年) 3
ここまで来るとだいぶ垢抜けてて現代的な映画として良く出来ている。70年代後半くらいでファッションが後期グラムロック風というか怪しい感じでよろしい。この特集の全体に言える事だが哀愁のある東ドイツの街や建造物が映るのが良い。この二本立ては結構満足。


■DEFA映画特集四・五日目の記録。

『45年生まれ』(1966/1990) 3
ヌーヴェルヴァーグの影響も感じる戦後生まれの若者の軽薄さがいけなかったのか公開禁止だった作品。シブ先生によると監督はそれで西に脱出する話もあったが反ファシズムの姿勢からナチの戦犯が生き残る西の自由を嫌って東に留まったという。いくら生きづらくともそういう理由で残る人もいたのかと。
(メモ)
西ではファスビンダーとヴィム・ヴェンダースが45年生まれ。

『建築家たち』(1990) 3.5
『冬よ さようなら』(1988) 3
この辺りは東ドイツ末期に作られた作品。『建築家たち』では全力を傾けたアートセンター設計計画がどんどん軌道修正され、仲間、家族に見捨てられるという若き芸術家の社会主義体制下での悲痛な生き方が描かれる。酒に溺れて崩れ落ちる最後は何とも言えない。『冬よ さようなら』は当時を生きた女性のオーセンティックなインタビュー集。仕事、男性、結婚観、生活の中での軋轢など忌憚ない話が色々聞ける。60年くらい連れ添った婆さんが夫に聞こえないように、孕まされてしまい親にそんな事を言うと許されないので仕方なしに結婚したが本当に後悔していると語る話などは本当にやるせない。

DEFAアニメーション選集(1957~1990)
・『青いネズミはどこにもいない 』1957 11分
・『対戦相手を倒すには』1963 5分
・『こんにちは、Hさん』1965 14分
・『石器時代の話』1965 10分
・『伝説の鳥トゥリパンを探しに』1976 13分
・『ちょうちょのフリドリン』1982 10分
・『カフカの夢』1989 8分
・『Sitis-扉』1989 11分
・『お隣さんたち』1990 5分
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