メメメメ

卒業白書のメメメメのレビュー・感想・評価

卒業白書(1983年製作の映画)
4.2
トムクルーズの顔で芋童貞役なんて無理だよ!って思うと思うけどそれはほんとそう。
この映画エンディングがふたつ存在してるみたいで、両方観たけど、配信されてない方(DVD版)がめちゃくちゃ心に刺さった。

配信されてる方だと、少しの不信感とか関係の不安定さにいったん蓋をして、悲壮感なく2人が歩みを進める。実行力のあるトムと、お金儲けのアイディアが豊富なラナであればなんとなく良いコンビのようにも思えるし、今後のことはわからないなりにハッピーな雰囲気でおわる。

もうひとつの方は、それぞれの10年後が同じ方向を向いていないことにちゃんと2人が向き合うんだよね、全然言葉にはなっていないけど。

実家が死ぬほど金持ちで良い教育を受け名門大学に受かった、この先の成功が約束されているトム。一方娼婦であり、犯罪まがいなこともしているラナ。
まっとうなトムの人生にラナはわりとリスクで、まあ実際に騙されてもいるし、普通に考えたら付き合うべき人間ではなくて。そしてラナもそう感じてる。

母親のガラスの置物の内側にいつのまにかヒビが入ってて、それは何の傷もないまっさらな状態から一歩進んだトムの心の成長を表していると思うんだけど、たしかにトムは友人の「どうにでもなれ!」の言葉と共に男として一線を越え、ひと騒動も乗り越えて成長した。そういう一皮向けた!という成長ももちろん良い。

けどそれ以上に、軽薄に笑い飛ばさずにラナと向き合って、たぶん自分たちは合わない、目の前のこの人を信用できるかというとそうでもない、それをふまえた上で感情に従ってハグをするという少年っぽさからひとつ進んだ「大人」を感じる成長のほうに自分はかなりぐっときた。

たぶんこっちのエンディング見てなければ、単純明快おもろかった!で終わってたと思うけど、エンディングのたかが2,3分くらいの違いでここまで感想ひっくり返ると思いませんでした。
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