MikiMickle

エヴォリューションのMikiMickleのレビュー・感想・評価

エヴォリューション(2015年製作の映画)
3.6
「初期クローネンバーグ、リンチを思わせる‼」
「H・P・ラヴクラフトやH・R・ギーガーの頭の中の様なゼラチン状の悪夢」などと宣伝されたら、見たくていてもたってもいられなくなった。

人里から遠く離れた孤島。
そこには、大人の女性と少年しかいない。
10歳のニコラは、海中で少年の死体を見つける。
が、島にも関わらず、海に行くなと言われ、その死体もなかった事にされる。
なにかがおかしいと感じたニコラは、
夜な夜な浜辺に集まる母たちをこっそりと覗きにいく。そこで目にする女性たちの異様な姿…
恐れおののくニコラ。
そして、不可解な医療行為を行われる少年たち……
この島はいったいなんなのか…

監督は、ルシール・アザリロヴィック。『エコール』で閉ざされた花園に暮らす少女たちの世界と様々な欲望とを、神秘的で幻想的なオブラートにつつみ描いた監督である。(パートナーはフランスの奇才ギャスパー・ノエ監督。彼の作品の製作などもしている)
エコールが言わば“羽化”のようなものであるのに対し、同じようなテーマであれども、もっと深く描いていた。

この映画を一言で言うなら、“美しい悪夢のおとぎ話”だ。

海、砂浜、退廃的な建造物。全てにおいて、不気味と美しさが混在している。

例えば、質素な白い家。薄汚れた漆喰と煉瓦。 必要最低限のものしかない。
そこで出される料理は、海草と稚魚が入り交じった、吐き気をもよおすようなもの。
母から飲まされる謎の薬。
病院の錆びたパイプ。
眉毛の薄い女性たち。
無表情の人々。
ニコラの描く絵。
よどんだ空。
夜道を照らすランプの灯り。
美しくも荒れた海。
たゆたう海草。
ごつごつした岩肌。
怪我と鼻血の赤。赤い水泳ズボン。
赤いヒトデ。
そして、少年たちに施行される恐るべき手術………


全てのシーンが美しい。自然の美であり、退廃的な美であり… それは不安感を醸し出す。
足元にまとわりつくような、粘着性のある不安感と恐怖。

それが、徐々に、徐々に、アメーバのように侵食してくる。閉ざされた世界の中で…

幻想的な世界と、様々なモチーフと、不可解な事が、夢の世界と現実を行き来し、美しくも恐怖の映像、自然界の音と共に、“倫理”などを越して、異世界へと連れていかれる映画だった。


海は生命の源であり、かつ、未知の世界である。そして、母性の根元である。また、羊水でもある。人の胎内回帰。まず、それがある。が、ここで描かれるのはただの母性では全くない。母と同じ女性ながらも、少年にとっては未知の世界である“女性”“性”というもの。“性”は、時に理解を超越するいかがわしさと気持ち悪さがある。自分に対しても、他者に対しても。赤いヒトデに対しての嫌悪感は性的な事に対しての象徴であり、母の妖艶な姿は虚遇だと思いたいということに他ならない。母たちの隠されたある姿も、西洋のある“悪魔”的姿がモチーフになっており、“気持ちの悪いもの”そのものである。海洋生物のそれは、まるでクトゥルフ神話のようだ。そして、出産という“生”。
そんな中、ラストへ向かうシーン。今まで大声なんてあげる事のなかったニコラが叫ぶ。この意味。そして、後ろに写るのは、ある光。ここに、新たなる世界を感じるものがあった。羊水から出たもののある種の“生”。これは、“進化”や“成長”への恐怖、生命の神秘を、グロテスクに描いたものだったのだと思う。
確かに、宣伝文句そのものであったし、ルイス・キャロルやグリム童話のタブー的なものも感じた。また、シュヴァンクマイエルやクエイ兄弟などの雰囲気もあった。シュールレアリズムと自然美が混ざったような、悪夢……

とさて、↑ここまでが真面目な私。以下、↓不真面目な私。

海、綺麗だなぁ……うっとり…えっ?なに?何食べさせられてるの?きもっ‼うげぇ‼近年まれに見る、激まず飯っ‼‼(笑)ニコラの描く絵、可愛いけど稚拙だなぁ… 日々、なにしてるんだろ?
お母さんたち、なんなの?眉毛なくて怖いんですけど(笑)で、夜になにやってるの?うひゃあ‼こんなの見たらトラウマなんてものじゃないや‼ きも~(笑)ネチョネチョが耳に残るし‼
で、こんな所に入院とか、なに?なにこの手術‼‼なにこれ‼‼いたたたたたた、やめて~‼やめたげて~‼‼ニコラの忍耐力、すごいな‼可愛い顔してっ‼‼なんなんだ、ここは‼‼あ、やばい…なんか…すごく綺麗だし、静かだし、ちょっとウトウトしてきちゃう… はっ‼‼ニコラ、叫んだっ‼‼
あぁ、工場の夜景、綺麗だなぁ……あ~、怖い怖い‼でも、変な映画だったなぁ…なんかすごいもの見ちゃったなぁ… 悪夢見るわ‼でも、こんな綺麗な悪夢なら、ちょっと見たい……

そんな映画でした‼‼以上‼
MikiMickle

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