監督のパオロ・カヴァラはヤコペッティ=プロスぺリの助監督をつとめ、自らもモンド映画(異文化エクスプロイテーション映画の謂いである)や「世界残酷物語」の内幕を暴露するような作品を撮っている。
ジャンカルロ・ジャンニ―二やステファニア・サンドレッリ、バーバラ・ブーシェなどのスターを集めたジャッロだが、マリオ・バーヴァやダリオ・アルジェントのモティーフを露骨に借りており、ヌードシーンを多用するくらいでアレンジに欠ける。謎解きの部分もおざなりで、犯人がほとんどストーリーに絡まないし、「針」を用いた殺害方法は、特に東洋系の視聴者だとすぐに犯人が割れてしまうのもいただけない。
クロディーヌ・オージェ(これは評価できる配役)が経営する美容サロンを舞台に起こる連続殺人をめぐり、刑事役のジャンニ―二が解決に奔走するという王道の筋書きを採用する一方で、描写にはさほど気を払っておらず、見どころに欠ける凡庸な仕上がりに終わった。