猫脳髄さんの映画レビュー・感想・評価

猫脳髄

猫脳髄

オーガズム・真理子(1985年製作の映画)

3.1

月経により人格が変化し、淫靡な連続殺人鬼と化す清里めぐみと、殺人犯を追う刑事役の平泉成との悲恋を映し出すサイコ・スリラー調の残酷ロマンポルノ。桂千穂脚本作品で、にっかつは配給のみの外部制作である。>>続きを読む

暴(や)る!(1978年製作の映画)

3.2

名作「暴行切り裂きジャック」(1976)の長谷部安春と桂千穂の名コンビが手掛けた日活バイオレンス・ポルノ。休暇に山あいの道をドライブしていた八城夏子が、修理を装ったトラックドライバーにレイプされてしま>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.3

3時間の長尺と奇想天外なストーリーに面食らってしまった。

基本的にはアリ・アスターが「ヘレディタリー/継承」(2018)で取り上げた母と息子の葛藤に加え、旧約聖書の神の理不尽さを代表する「ヨブ記」と
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三茶のポルターガイスト(2022年製作の映画)

3.1

ライター、YouTuberで元TOCANA編集長の角由紀子が、三軒茶屋の古スタジオで心霊現象を検証するというドキュメンタリー。

再現ドラマやゲストとの対談、コックリさんほかの降霊術でスタジオに巣食う
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ジョイス 密室の狂気(1987年製作の映画)

3.5

「ヘルマザー/鮮血の愛」(1988)の監督、チャック・ヴィンセントがハードコア・ポルノ時代からの盟友ヴェロニカ・ハート(本名のジェーン・ハミルトンでクレジット)を主演に据えたサイコ・スリラー。

父親
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ベイビー・ブラッド(1990年製作の映画)

3.2

フランス産ホラー、特にスラッシャー/スプラッター映画については、ドキュメンタリー「BYOND BLOOD」(2018)で語られるとおり、図式的には1970~80年代のジャン・ローランから「ハイテンショ>>続きを読む

変質犯テリー/殺人コレクターの甘いうずき(1973年製作の映画)

2.4

若かりしジョン・サヴェージがマザコン殺人鬼を演じたサイコ・スリラー。監督は「サイコXX」(1970)ほか、そこそこの数わが国にも作品が紹介されているカーティス・ハリントンである。

集団レイプ事件の加
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ザ・ウォッチャーズ(2024年製作の映画)

3.5

父シャマランのもとでセカンドユニット監督を務めていた娘イシャナが、父のプロデュースで撮り下ろした初長編作品。

アイルランド西部の脱出不能の深い森にそれぞれ迷い込んだダコタ・ファニングら4人の男女が、
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墓場の館(1980年製作の映画)

2.6

カナダ産スラッシャー。当初の原題はCries in the Nightだったが、後にFuneral Home(葬儀場)に変更されており、邦題(※)はこちらに拠るのだろう。「サイコ」(1960)のエピゴ>>続きを読む

聖し血の夜(1974年製作の映画)

3.8

マスターがボロボロで嫌な予感がしたが、まさかこれで1970年製作72年公開(別タイトル)とは、スラッシャー映画史のミッシングリンクといえる驚きの発見である。

まずクリスマスの出来事という記念日性、殺
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みなに幸あれ(2023年製作の映画)

2.8

ホラーはジャンル映画の周縁性ゆえに、時に思いもよらない先見性や告発を含み込む場合があることは認めよう。「幸せ」という人間が古代ギリシャから追求してきたにもかかわらず、極めて抽象的で人為的な概念にジャン>>続きを読む

フローズン・スクリーム(1970年製作の映画)

2.0

製作は1981年。Filmarksの表示誤り。ただし、大半は75年に撮影され、81年に一部追加撮影が行われたとのこと。

観るに耐えないマッド・サイエンティストモノだが、「ステップフォード・ワイフ」(
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ブラッドビート 血に飢えた魔性の刃(1983年製作の映画)

3.2

米仏合作のオカルトサイキック・スラッシャー。設定がよくわからないうえに、「HOUSE ハウス」(1977)ばりのキッチュな合成加工、まさかの殺人武者登場に超能力対決、ストック使用でずっと場違いなクラシ>>続きを読む

世界で一番殺された女(2018年製作の映画)

3.2

スラッシャー映画のルーツとされる残酷劇で人気を博したパリのグラン=ギニョール劇場の看板女優、“1万回殺された女”ポーラ・マクサを主人公に据えたスリラー。

映画としての出来はイマイチだが、グラン=ギニ
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オールモスト・ブルー(2000年製作の映画)

2.8

特集 ネオ・ジャッロ あるいはアルジェントの徴の下に15/

クジョー(1983年製作の映画)

3.4

プア・ホワイトが飼ってる狂犬病にかかったきったねぇセントバーナードが、アッパーミドルの母子を襲うという何とも含蓄のある、スティーヴン・キング原作のアニマルパニック・ホラー。

主演のディー・ウォレスい
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ボディ・ダブル(1984年製作の映画)

3.3

ジェームズ・スチュワートが実は変態的に描写されたヒッチコックの「裏窓」と「めまい」を下敷きに、80年代らしいキッチュなポルノ趣味やスラッシャー風を取り入れたヒッチコック・パロディのスリラーといえばいい>>続きを読む

ヘルマザー/鮮血の愛(1987年製作の映画)

3.3

監督のチャック・ヴィンセントはじめ、主演の男女もポルノ映画出身で、それなりに名の知れたリンダ・ブレアが脇役扱いというサイコ・スリラー。

いわゆる女性による監禁モノだが、ジャンルとしては「ミザリー」(
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ナイトメア・シスターズ(1988年製作の映画)

2.4

監督のデヴィッド・デコトーはロジャー・コーマンのNWPでキャリアをスタートし、チャールズ・バンドのもとで作品を製作するなどハナっから胡散臭いが、フィルモグラフィの数だけはすごい。

3人のイケてない女
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かくしごと(2024年製作の映画)

3.3

原作があるだけにうまく構造化はできているが、前半でキャラクターへの共感システムを構築しないため、後半でのドラマの昂ぶりにまったく没入できない。ヒューマンドラマでこれはないだろう。失当というほかない。>>続きを読む

殉霊鬼(1999年製作の映画)

2.0

まあ酷いヴィデオ映画なんだけど、「悪魔のいけにえ」や「13日の金曜日」シリーズを参照しながら頑張ったJスラッシャー。

当時おそらくデジタル化の進捗で、編集でいろいろなエフェクトが可能になった喜びを感
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カンニバル・マン 精肉男の殺人記録(1972年製作の映画)

3.4

この時期ってまだフランコ政権下なんだよなぁ。海外販売メインとはいえ、貧富の格差や同性愛テーマを盛り込んで健闘したスペイン産スラッシャー。

精肉工場勤めの主人公が過失で殺してしまった事件を隠蔽するため
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