Emmy

シラノ・ド・ベルジュラックのEmmyのレビュー・感想・評価

4.5
好き。
序盤はコミカルな部分も多く、明るい気持ちで楽しめる。終盤はズーンとくる…。

私は「詩」というものがよくわからないけれど、シラノの詩は良かった。特にバルコニーの。
「詩」って、どういうものが良くてどういうものが美しくないのか、私にはよくわからない。ただこの映画のシラノの「詩」は、「こういう考え方って素敵だな」と感じられた。
詩のうまさとかは相変わらずわからないけれど、シラノの愛にまつわる考え方は素敵だと思った。

鼻が大きいくらいで…そんなに気にしなくていいのに…と思うけど、でもシラノの気持ちもわかる。
ちょっとでも普通ではないところが(優れている方面ではなく劣っているとされる方面で)あると、本当に欲しいものを望むことが許されないような気がしてしまう。自分にはそんな価値は無いんだと思ってしまう。

見た目の愛と、魂の愛。
本能の愛と理性の愛、とも言えるのかな。
どっちも手に入った瞬間に失うロクサーヌ…。
自分がロクサーヌの立場で、もし魂の愛を確信してしまったクリスチャンに「手紙の主はシラノだよ」と言われたら、一体どうしていただろう…。
「やっぱり私の愛する人はシラノだわ!」とすぐに切り替えられただろうか?
14年後にロクサーヌが手紙の主に気付いたのは、手紙の朗読があったからだけではなく、ロクサーヌの心の切り替えに14年かかったということなのかもしれない。

ロクサーヌ、まるで絵画が動いているよう。美しい。衣装もすごく可愛い。
ロクサーヌのおうちもすごく可愛い。階段の手すりとか。

街並みとかはセットなのだろうか?ああいう場所があるのだろうか?

「月から落ちてきた」「星の毛がまだ服についている」って面白い×メルヘンチックですごく好き。

クリスチャンという媒体を通して、二人は愛を育んだり確かめ合ったりできた。
闇の中で心からの愛の言葉を初めて直接口に出すことができたシラノの魂の喜び…画面を通しても伝わってきた。
Emmy

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