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パターソンのSharkstaのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.2
Filmarksの試写会にて、Patersonを見ました。

舞台がニュージャージー州、NYのすぐお隣さん。4年ほどNYに住んでいたことがあるため、鑑賞スクリーンから街の匂いがしてきそうなごく普通のニュージャージーの景色に、主人公パターソンの目線とともに上映開始早々溶け込んで行ける映像がとても心地よかった。

ジム・ジャームッシュの映画は全部は見てないし、彼のスタイルなどはそこまで詳しくは知らないが、こういう筋書きと詩をこのように全面的に映画とオーバーラップさせるスタイルの映画は初めて見た。

パターソンを演じるアダム・ドライバーというキャスティングはぴったりだったと思う。
彼の出演作はまだあまり見ていないが、今まで見た中で一番のはまり役であり、また、彼の演技も普通(何が普通かと言われると、定義も難しいが)に、アメリカ、NJにいそうな、バスの運転手という感じがとっても良かった。些細な表情や、彼の話し方など、しっくりきていた。
奥さんとのとても良い関係も微笑ましかった。
また、非常に個人的な好みの問題だと思うが、彼の声、そして、詩を読み上げる音とトーンがとても耳に心地よく、シーンとともにふんわりと溶け込んでいたと思う。


この映画はストーリー云々ではない。
NJの街の姿を、スナップ写真を集めたかのような映像で、まさに詩を読んでもらっているような流れるような映画だった。ジム・ジャームッシュの得意とする、クスッとさせられる箇所はそこら中にあった。といっても、私の周りの方々は、ある箇所以外、うんともすんとも、音も立てずクスッともしていなかったが…..私は10分に1度はクスッとしていた気がする。

キャスティング、音楽、映像、光の美しさ、詩を全体に混ぜ込む、などなど、バランスの良い作品で、アダムの演技もとても良かったので、特にこれ!という見所を上げるには難しい映画だけれど、ハイスコアになるかな?と思っていた、最後の最後に、忘れてました、永瀬正敏が出てきて、一気に私のテンションは下がってしまった、残念ながら。

ジム・ジャームッシュよ、永瀬くんを起用したい気持ちもわかるが、残念ながら、見事に私の土曜の朝にゆっくりバスタブに浸かっているようなぬる~い、世界観に浸っていた私の雰囲気を一気にぶち壊してくれたのだ笑

私だけだろうか?日本映画以外に、俳優を見てしまうと、一気に現実に引き戻されるのだ。
私になりに理由を分析したが、おそらく、私自身が日本人であること。また出演する俳優のほとんどは、見たことがある著名な俳優である場合、彼らが日本語を喋る印象がすでに植えつけられているため、それを払拭するほどの英語を話さない限り、先入観がどうしても拭えないのである。

映画を楽しむ上で、私がいつも気にしているこの課題を、最後に投げつけてくれたのが、本当に本当に個人的な理由で申し訳ないのだが、作品のエンディングを見事に台無しにしてくれて、非常に残念だ…がそれ以外の部分は、よく言われるフレーズだが、音楽を聞いているようであった。

特に、抑揚もなく、そして、最後に音の大きく外してくれた心地の良い、冬の暖かい陽射しのような歌詞のない音楽🎶
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