小原バオ

パターソンの小原バオのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
5.0
ジム・ジャームッシュの最高傑作という言い方は大げさすぎてこの作品に合わないような気がするが、そうだからしょうがない。アダム・ドライバーは本年度マイベスト主演男優賞。
地道な仕事の日々を退屈で空虚なものと描いてはなばなしいクライマックスを引き立てたり、報われないことを抗議する題材にしたりする映画はたくさんあるが『パターソン』はあざとさのかけらも無し。
アート意欲が止まらないローラも犬も魅力的。黒と白の模様がどんどん増えていったり、こぎれいな双子が次々と何組も出てきたり、詩が画面に書かれたり、センスと楽しさがあふれている。
何より他の登場人物達の会話が面白かった。聴きながらちょっと顔をほころばせるアダム・ドライバーと一緒にウフフと笑っているうちにじんわりと幸せな気分になった。
2017.11.1