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七月のランデヴーのallisroundのレビュー・感想・評価

七月のランデヴー(1949年製作の映画)
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ドアが閉まるから音楽が鳴り始める。そんなこと当たり前だろう?リズミカルな細かいカット割り、鳴り響くジャズはモノクロの画面をいろどってゆく。
いちど親元から離れた若者たちは停まることなくパリの街を駆け巡り続ける。大志のための、夢のための、名声のための、仲間内での倫理に遵うための彼らのエネルギーは加熱し、加速し、正しいものを救って誤ったものを敗者とする。それは論理的に納得のいくものであり、正義がなされたハッピーエンドのように見える。
だがそれが孕む暴力性は、1人のリーダーの演説に皆が意見を変えるシーンに代表されている。それは真理めいているようでその実ごく一面的であり、敗者・弱者に対しての思い遣りに欠けている上にさまざまの善意、人格をないがしろにしているのだ。これからを担う若者たちを賞賛しつつも、それに気づかない彼らの隠れた危うさを復興後の活気づいた雰囲気の演出を害することなくすこしビターに描き切った秀作。

あと関係ないけど、filmarksの鑑賞記録におかげでときどきいいねを送りあってはいるけど顔も見たことがないフォロー/フォロワーと同じ劇場の同じ回で一緒に映画を見ていたことがわかるのたのしいね。
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