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少女椿のGASSのレビュー・感想・評価

少女椿(2016年製作の映画)
2.5
あの伝説のコミック「少女椿」の実写映画化が実現しました。
まずは製作者の方々の勇気に感謝したいです。

原作はもちろん既読です。
後に製作された、ある意味伝説のアニメ版も鑑賞済みですが、まさか実写化されるとは思ってもいませんでした。
丸尾末広のファンが、作品である漫画の何に魅力を感じるかは人それぞれだと思いますが、私はその画力、絵の美しさに最も魅力を感じます。
そして昭和初期を感じさせるおどろおどろしい世界観、非道徳的な内容など全てが素晴らしい。
国内のみならず、世界中にファンがいるのも頷けます。
しかし実写化されることにより、当然その美しい「画」で表現することは出来ません。
それを実写でどの様に表現するのか、あの世界観を表現出来るのかとても関心がありましたし楽しみにしていました。

以下鑑賞後の個人的感想です。
まずはキャスティング。
主演は中村雅俊の実娘さんだそうですね。
見れば見るほど母親にそっくりで驚きました。
そのみどりを見守るワンダー正光には風間俊介さん。
見る前は不安たっぷりのキャスティングでしたが、この風間さん見事な怪演でした。
風間さんの過去作は見たことが無いのですが、なかなか芸達者な俳優さんですね。
今後要チェックです。
カナブンは少し残念なことになっていましたが、その他のキャスト陣は概ね満足でした。
鳥肌実が出ていたのには驚きましたね。

次に不安だった世界観なのですが、まず時代設定が全く分かりませんでした。
レトロな雰囲気を出しつつもスプレーアートなど近代を混ぜているため統一感が無く、何が表現したいのか理解に苦しみました。
あるシーンではまんま「ラーメン博物館」が使われており、笑ってしまいました。
服装もレトロな服を着た人もいれば未来的なデザインの不可思議な衣装の人がいたりでこれも統一感が無く観ていて不快に感じるほどでした。
そんなあやふやな時代設定に、少女椿の肝である「見世物小屋」が合うわけもなく、???だらけの世界観になってしまっていましたね。

肝心の内容ですが、ストーリーの後半は完全に映画オリジナルです。
原作は短い内容ですので尺を稼ぐためにはやむを得ない改変だったのかもしれませんが、私はそこで一気に冷めました。
やはり少女椿は無慈悲な最後を遂げるワンダー正光と、1人取り残されるみどりという図式が完璧に美しいと私は思っているので、この美談で終わらせるような大きな改変は全く納得出来ません。
非常に残念な気持ちでラストシーンを観ることになってしまいました。

かなり辛辣なレビューになってしまいましたが、最初にも書いた通り実写化したことには敬意を表したと思います。
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