だいき

新宿スワンIIのだいきのレビュー・感想・評価

新宿スワンII(2016年製作の映画)
1.7
2017年公開映画4本目。

優しいヤクザ映画。

2015年公開映画『新宿スワン』の続編。
原作未読。
PG12指定を受けた前作では所々に性的、暴力的なバイオレンス描写が見られ、一定の緊張感はあった。
しかしG指定の本作には過激な表現がほとんど含まれず、スカウトたちも急に良い人に様変わりし、ヤクザ映画からファミリー映画へと変貌を遂げた。

前作同様、主演綾野剛の所属事務所主導の作品なのだが、これが本作の物語を大きく失速させている要因となっている。
メインキャラクターでもないのに事務所が推したいという理由だけで、俳優やミュージシャンを映す場面が何度もある。
ストーリーの核心に触れているならまだしも、全く関係ない場面で映されると邪魔で仕方がない。
事務所主導で製作した作品だから、自社の俳優を優先して映したいという気持ちは分からなくもないが流石にやり過ぎ。
尺稼ぎ、ストーリーの妨害、緊張感を削ぐといったマイナスへの要因でしかなかった。

前作も通して痛感したのは、この作品は漫画だからこそ成り立つ作品であり、映像化してしまうと一気に現実味がなくなり、世界観に入り込むのが難しい。
新宿でも横浜でもあんな派手に喧嘩をする光景は見たことがない。
非現実感、ファンタジー性を成立させるだけのモノを感じることはできなかった。
原作全38巻のうち、本作ではまだ17巻までしか到達しておらず、あの終わり方からすると今後もまだまだ続編はするつもりなのだろう。

前作もそこまで面白いと思わなかったが、本作はその水準を更に下回る残念な結果となった。
だいき

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