しちみ

遠い日のゆくえのしちみのレビュー・感想・評価

遠い日のゆくえ(2011年製作の映画)
4.5

《 一生を生きることは素晴らしい。そう信じて。僕はこれからを生きていきたい。》

ま、まさかの1番レビュー…!? これだけのFilmarksユーザーがいる中初レビューを飾れるとはなんて光栄なことだ!(T ^ T)
色々と映画を模索していたら偶然出会った作品。永山くんが好きで見始めたのだけれど思いの外いい作品でした。

あなたには消し去りたい、忘れてしまいたい過去はありますか?

この話は特掃(亡くなった方の身元整理)で働く青年が主人公で話が進みます。あらすじも知らない、キャストも知らない中で見始めたのですが開始10分で後悔しました。血迷っていたので深夜4時から見始めたのですが冒頭のシーンで吐きそうになりました。他人の腐敗した血が顔に付いたって考えると本当に気分が悪くなりますよね…。ゲロも若干写ってるし、その後にGさんも出てきて本当に後悔。観るのやめて大人しく寝ようかと思いました。
ですが、なかなか辞めるタイミングが掴めず見進めていったのですが終いには最後まで見ていました。

等身大の映画だと思います。
亡くなった赤の他人から生きる希望を、活力を見出した青年と実の母が死んでからやっと今までの確執がなくなった娘。そして過去を消してしまいたいと負の念に駆られるその子の父親。複雑な人間関係が混じり合って交差して見ている人間の心をえぐります。決して優しい映画ではありません。でもこれがリアルです。自殺・孤独死・捨て子・未成年での出産、妊娠・他者との関わり。脚本が良く出来てるなぁと。メジャーな作品ではない為、映像で荒っぽいところもありますが良く出来てると思います。本作は第三回WOWOWシナリオ大賞作品賞を獲得しているようですが、文句なしですね。素晴らしいシナリオでした。

ここ最近、救いようのない暗い邦画ばかり見てきましたがこの作品は最後に希望の光が満ち溢れているようで見始めたときは吐き気が凄かったのに見終えた後はやけに清々しい気分です。笑

血が繋がってても実の家族に暴力を振るう人はいます。逆に血が繋がっていなくたとしても気にかけて毎度お土産などを渡す親もいます。お腹を痛めて産んだ我が子を自分の手で殺める、捨てる親もいます。逆に自分の人生を捨ててまで我が子に尽くそうとしましたが、結果我が子とは生き別れてしまった親もいます。
目に見えてる繋がりだけが全てじゃありません。実の母よりも自分の事を気にかけてくれる人がいるかもしれません。血が繋がっていないのに親切にしてくれる人がいるかもしれません。孤独死などが増えてきた現代。映画の中の人物たちの人生から現実世界の問題が等身大で映し出されています。

色々と溢れた想いがあるのですが言葉にするにはあまりにも不恰好で難しいです。
思っていたよりは良い作品でキャストも良かったです。(妹役の剛力以外ね!!これ大事!!)まだ見てない人は是非見てほしい作品です。人それぞれ感じ方が違うので何も響かない人もいるかもしれませんが私はとても大きな影響を受けました。

『 誰の為に特掃の仕事をするのか? 』


亡くなった本人の為でもなく、生きている残された人間の為でもなく、自分の為なんじゃないのかなぁ。
しちみ

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