さっこ

ザ・コンサルタントのさっこのレビュー・感想・評価

ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)
3.8
主人公は異質な人を怖れる世の中で生きるために、異質性を活かした術を身に付けた。人生サバイバル。
映画主張点は異質性の素晴らしさらしいが、そこは疑問である。私はむしろ家族というものの表現の仕方がメインだと思っていた。

殺しは依頼された仕事ではない。ただ、会計監査という仕事と同じように、効率的に徹底的に行う。
なぜ、殺すのか。それは主人公にとって、殺しこそが復讐の最終形態だからなのだろう。そして、完璧な状態で生きるためには相手を排除しなければならない。間違って混入したパズルのピースといったところか。我がパズルを汚すピース。

アナ・ケンドリックが「何より脚本の多層性に興味をひかれた」と述べていた。実際様々なレイヤーがかけられており、読みとくのはなかなか疲れる。しかしながら、そこが良い。人間の内面の多面性、多様性を象徴しているよう。
過去から現在へと連綿と続く想い、過去から物理的に消えた人・加わる人によって変化する想い、変化させたくても自力では克服できない想い。誰にとっても「想い」は存在する。

映画評論家でも研究者でもないので、映画特典における解説が面白かった。主人公の性格に合わせた空間表現やアクション手法にこだわっているそうだ。そのこだわりは表現者として当たり前なのかもしれないが、細かくて私は感動した。

ここから、ちょっとネタバレ。


映画の最後、ちゃんと回収してくれて安心した。いつまで出てこないんだろうとやきもきしてしまった。
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