Miver2

サロメの娘のMiver2のレビュー・感想・評価

サロメの娘(2015年製作の映画)
4.5
映画が始まって語る言葉がリズムを生み出して行きながら、その物語の旋律にグイグイ引き込まれて行く。
その凄さに圧倒されて、とても面白かったこの作品。

美しい画とカット割りと光がとても印象的で。
音楽を奏でるように物語が描かれ、物語を描くように奏でられる音楽。
緻密な計算の中で感じられる即興的な展開に思わず息を呑む。
必然と偶然が織り成すその世界観に圧倒された。

映画の鼓動、音楽の鼓動、言葉の鼓動、自然の鼓動、舞踊の鼓動。
それぞれの鼓動が重なり合いながら織り成す物語はとても斬新で、とても実験的で、とても挑戦的で、とても独創的な所に物凄く可能性を感じさせてくれる事が何よりも素晴らしいと思う。

緻密な計算の中で即興的な瞬間をしっかりと切り取って物語に焼き付けて行くその場面の数々がとても印象的で。
偶然と必然が織り成す世界観の凄さがたまらない物があったよ。

そしてこの作品を観ていて、ROVOの勝井さんとササキヒデアキさんのDRAMATICSのライブを思い出した。
研ぎ澄まされた美しさを放ちながら、光りと闇の果てに揺れる感情とその鼓動が織り成す即興空間にこの映画と共通する物を思い起こす所があった。

今回観た七里圭監督「サロメの娘 アナザサイド(in progress)」、音から作る映画の第3弾なのかな。
あれだけ斬新で、とても挑戦的で、とても研ぎ澄まされた美しさを放つ世界観は、映画の概念を覆してくれるかもしれない凄さがそこにあった。
七里監督の他の作品も掘り下げて観たくなった。

今回初めて観た七里圭監督作品、とても面白かったし、観ていて嬉しい驚きがあったりして、今回観る事が出来て良かったです。
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