いまるちゃん

ふたりの桃源郷のいまるちゃんのレビュー・感想・評価

ふたりの桃源郷(2016年製作の映画)
5.0
田中寅夫、フサコ夫妻は第二次世界大戦後寅夫の故郷に近い中国山地の山奥を切り開いて娘3人を育て上げる。
一度は大阪に移住するが娘たちが独立したのを見届けると還暦を過ぎた二人は自分たちの原点であるあの山へ戻る。

電気も電話も水道もない山奥で自給自足で暮らす二人。そしてその二人を支える娘達の思い。

老いがやってきた二人に対して娘達が一緒に暮らすことを提案するんだけど寅夫じいちゃんが「あの山で最後を飾りたい」って決断するシーンはとても良かった。
老人ホームに入るも体調が良くなってからは日中は二人で山に戻る。
それからも色々あるけど何があっても何度も何度もあの山に戻る。
フサコばあちゃんが山で寅夫じいちゃんを呼ぶシーンもキュートだし切ない。

三女の恵子さん、安政さん夫妻が途中から山の麓に引っ越して山の手入れをするんだけど恵子さんがフサコばあちゃんに重なる。
早くに親を亡くして孝行ができなかったからと理解をして協力をしてくれる旦那さんの安政さんも素敵。
終盤安政さんがフサコばあちゃんを優しく見つめるシーンがあるんだけどそこがとても好き。

全編通してあたたかくてキラキラしてる。
二人で畑を耕したり、薪で焚いたお風呂、山小屋の離れのバスの中の寝室。
娘達の思い。
画面に映る全てが輝いてた。

ソフト化されてなくてずっと見れないかと思ってたけどタイミングよく劇場で観賞することができました。